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NHK受信契約はいつから「義務化」されたのか?

NHKの受信契約は「テレビを設置した人は結ばなければならない」と法律にしっかり書かれているものです。とはいえ、この法律自体がおかしいと真っ正面から裁判で争われたこともあります。その結果、5年前に出された判決がNHKの受信契約にお墨付きを与えることになりました。それが現在、NHKが受信契約について強気に出ている理由です。


NHK受信契約はいつから「義務化」されたのか?


NHK受信契約には数多くの民事訴訟

NHK受信契約やNHK受信料については、過去に数多くの民事訴訟が行われてきました。そのなかでも、現在のように視聴者がNHK相手に民事訴訟で争っても勝ち目が薄い…という流れを決定づける判決を、2017年12月に最高裁大法廷が出しています。

この裁判で争われたポイントはいくつかありますが、のちにつながる意味で重要なのが、放送法が定めている「協会(NHK)の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」という点です。

さまざまな契約の基本ルールを定めた民法には「契約の自由」という原則があり、さまざまな契約はお互いの合意に基づき結ぶ必要があります。ところが、NHK受信契約は放送法によりテレビ設置者は有無をいわざず結ばされ、総務大臣の認可が必要なもののNHK側が一方的に契約内容を決める仕組みです。契約の自由に反しています。


NHK受信契約で最高裁大法廷が判決

しかし、NHK受信契約に関する法律である放送法が民法の原則に反していても、その法律がただちに無効になるとは限りません。契約の自由を規定する民法の条文は「法令に特別の定めがある場合を除き」となっており、放送法で特例を定めることが可能なのです。

ただし、放送法の規定が憲法に違反する場合(違憲)は無効となります。そして、すでにある法律について違憲かどうか判断するのは裁判所の役目で「違憲立法審査権」というのものです。なかでも、最高裁判所の判事15人全員が参加する最高裁大法廷での判決や決定は、のちの裁判における基準を決める重要なものとなります。

2017年12月に最高裁大法廷が出した判決は、NHKが未契約者を相手に勝手に受信契約書を郵送しNHK受信料を請求したという事件に関するもので、受信契約書を送られた視聴者は無断に作られた契約なので無効だと争いました。さらに、視聴者は放送法の受信契約に関する規定は違憲だとして、最高裁へ上告していたのです。


NHK受信契約は違憲ではないと判断

最高裁大法廷の判決では、放送法のNHK受信契約に関する規定については国会の立法裁量の範囲内、ということで違憲ではないという判断でした。一方で、NHKが行ったような視聴者に無断で受信契約を結ぶことは認められず、もしNHKが受信契約を強制するなら司法手続きを踏まなければならないとしました。

そのうえで判決上では上告棄却、つまり第二審の東京高裁判決が維持されました。東京高裁判決は2014年4月に出ており、内容は視聴者はNHKとテレビ設置時にさかのぼってNHK受信契約を結び、その時点までの受信料を支払えというものでした。つまり、NHK受信料の支払いという点では、視聴者側の敗訴に終わったのです。

とはいえ、NHK側としては無断で受信契約書を送りつけるという裏技は使えなくなったため、裁判も含めた正攻法で視聴者から受信契約を取りつけるしか方法がなくなりました。NHKが、現在に至るまで受信契約をとりやすくするさまざまな法改正を求めていることにも、この最高裁大法廷判決が影響しているのです。

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ラジオライフ編集部

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