NHK受信料が義務化されたのはいつからなのか?
NHK受信料に関して、ネット上で「テレビを持っていれば法律上はNHK受信契約を結ぶ義務はあるが、NHK受信料を支払う義務はない」という説をときどき見かけます。じつは、NHK受信料を支払う義務とNHK受信契約を結ぶ義務を定めた法律は別々です。NHK受信料を支払う義務はどういった条件で発生するのでしょうか。

NHK受信料を支払う義務は受信契約
NHK受信料を支払う義務については、NHK受信契約を結ぶ義務と分けて考える必要があります。まず、NHK受信料を支払う義務があるのはNHKと受信契約を結んだ視聴者で、受信契約を結ぶことによりNHK受信契約内に規定されているNHK受信料を視聴者側が支払う義務が出てきます。
一方、NHK受信契約を結ぶ義務は民法ではなく放送法に定められており、NHKのテレビ放送を受信できる設備を設置すると契約義務が発生します。つまり、テレビを持つことによりNHK受信契約を結ぶ義務が発生し、NHK受信契約を結ぶとNHK受信料の支払い義務が発生するという二段構えになっているのです。
なせこのような二段構えになっているかといえば、民法には「契約の自由」という原則があり、お互いが合意していない契約は無効となるため。ところが、NHK受信契約については放送法の規定により、例外的にテレビ視聴者側へ契約する義務が発生することになります。
それでは、NHK受信契約を結ぶ義務が発生する「NHKのテレビ放送を受信できる設備を設置」というのはどのような状態のことでしょうか。この点については放送法に明確に書かれていませんが、過去のNHK受信契約をめぐる裁判でこの点が争われたことがあります。
NHK受信契約の解約を認めない判決
この裁判は、NHKの地デジチャンネルのみカットするフィルターを内蔵したアンテナを設置したホテルが、NHKに対して受信契約の解約を求め争ったものです。さらに、ホテルの客室にはアナログテレビしかなく、地デジ→アナログの変換が行われないとテレビ自体の視聴が不可能な状態でした。
2020年3月に出された東京地裁の判決は、ホテル側が求めたNHK受信契約の解約を認めず、引き続きNHKに受信料を支払えという内容でした。その理由は、アンテナに内蔵したフィルターを取り外せばホテル客室でNHKが受信可能なため「NHKのテレビ放送を受信できる設備を設置」した状態とみなせるというものでした。
実はこのホテルにはデジタルチューナーと地デジ→アナログ変換装置自体はあり、客室へアナログ放送として再送信する際にはNHKのチャンネルをカットすることはありませんでした。このため、判決ではアンテナのフィルターを取り外すことにより、ホテル客室でNHKのテレビ放送が受信可能という判断をしています。
この判決から、NHKのテレビ放送を受信不可能なテレビを所有している場合も、デジタルチューナーなどによりテレビ放送を視聴可能であればNHK受信契約が必要ということになります。逆に、地デジやBS放送対応のテレビを持っているだけでは「NHKのテレビ放送を受信できる設備を設置」した状態にはならないともいえるでしょう。

ラジオライフ編集部

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