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田舎に住むとNHK受信料が無料の時代があった?

NHKの番組が映るテレビを設置した世帯が支払うNHK受信料には、沖縄を除くと住む地域による差がありません。しかし、昭和のある一時期、人口が少なくインフラ整備が遅れていた「辺地」を対象としたNHK受信料の全額免除が行われていました。しかし、この制度はある事情によりわずか5年で終了してしまうのです。


田舎に住むとNHK受信料が無料の時代があった?


ラジオのNHK受信料が多くの地区で無料

現在のNHK受信料には、住居のある地域による受信料の割引や免除を受けられる制度はありません。ジェット機の発着が多い自衛隊基地や在日米軍基地周辺については、防衛省が地上契約分の半額を助成する制度があるものの、NHK受信料自体は満額NHKへ支払う必要があります。

しかし、かつての一時期は住む場所によってNHK受信料を免除する制度が存在しました。そのひとつが「辺地」に指定された地区に住む世帯に対するラジオ受信料の全額免除で、日本国内の多くの地区でラジオのNHK受信料が無料だったのです。

辺地とは、集落が存在しているもののまばらで、電気・水道・道路といったインフラや医療機関や消防署などの公共施設が整っていない地域のことを指します。辺地を抱える地方自治体は、辺地整備のために発行した債券の返済用として、国から地方交付税が手に入る仕組みです。


NHK受信料を無料にするよう契約改正

辺地に関する法律・辺地法は1962年4月に施行され、ある地区が辺地かどうかの判定方法は辺地法施行規則で定められています。同施行規則によると、辺地の判定は最寄りの学校や駅・バス停などへの距離、電気・電話などの整備状況で計算する仕組みで、例えば徳島県では県内86集落が辺地に指定されています。

辺地法の施行を受け、NHKも1962年4月から辺地向けのラジオ受信料を全額免除で無料にするよう受信契約を改正しました。NHK受信料の場合、辺地に加え辺地以上に不便とされる地区について、ラジオのみ所有する世帯の受信契約「契約乙」について受信料全額免除の無料対象となったのです。

1962年4月当時の受信契約では、契約乙の受信料免除は辺地以外にも幅広く適用されていました。例えば、住民税非課税の母子家庭やジェット機の発着が多い自衛隊基地や在日米軍基地の周辺住民も、乙契約の場合は受信料全額免除に。さらに、社団法人日本放送協会時代に会員だった人も契約乙の全額免除対象だったのです。

これらの契約乙の受信料免除は、1967年4月から施行された改正放送法でラジオがNHK受信契約の対象外になることで廃止されました。じつは、ラジオ向け受信契約が廃止された背景には、契約乙の世帯は受信料全額免除のケースが多いという背景もあったのです。

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ラジオライフ編集部

ラジオライフ編集部三才ブックス
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