ACAS改造でB-CASカード化する裏ワザ流通の理由
いま40インチ以上のモデルであれば4Kチューナー内蔵が主流。4KテレビにはACASチップ搭載チューナーが取り付けられていますが、これをB-CASカードスロットに換装するテクニックがネットを調べると見つかります。はたして、ACASチップを改造してB-CASカードスロットに改造しようとする人は、どんな狙いがあるのでしょう。
ACASチップ改造後のB-CASカードは違反
ACASチップ搭載チューナーをB-CASカードスロットに改造するメリットは、通常の使用方法ではほぼ考えられません。というのも、4K・8K放送の番組は無料放送であってもほとんどがACASでコピー制限がかけられているため、仮にB-CASカードスロットに換装する改造できたとしても、そのテレビやレコーダでは4K・8K放送は視聴できなくなってしまうからです。
また、B-CASで使用するB-CASカードは、発行元となるビーエス・コンディショナルアクセスシステムズから借りて使用する形になっており、利用する視聴者は「B-CASカード使用許諾契約約款」に従う必要があります。
この利用約款では、B-CASカードはもともと同梱されていたテレビなどの受信機器とセットで利用しなくてはならないという規定。そのため、ACASチップ搭載チューナーをB-CASカードスロットに換装してB-CASカードを差して使うことは、それ自体が契約違反となるのです。
ACASチップ改造でB-CASカード化の背景
それでも、ACASチップ搭載チューナーをB-CASカードスロットに改造するテクニックがネットに出回る背景には、ACASと異なりB-CASの暗号化技術がすでに解析されている点があります。解析された情報を元に、B-CASカードの内部データを書き換えて有料チャンネルを契約なしで不正使用する手口は、約10年前にはすでに明らかになっています。
また、BS・110度CSすべての有料チャンネルが無料で視聴可能なカードは、裏ルートでは「BLACK CAS」と呼ばれ、販売した人物が逮捕されたことも…。2012年に発覚した大規模なBLACK CASの流通事例では、京都地裁が執行猶予付きの懲役刑の判決を出して確定しています。
そもそも4K放送にB-CASカードではなくACASチップが採用された大きな理由が、こうした不正利用を防ぐためでした。単にACASチップ搭載チューナーをB-CASカードスロットに換装する改造だけであれば、契約違反のみで刑事罰に問われることはほぼ考えられません。しかし、ACASチップ搭載チューナーをB-CASカードスロットに換装する改造によって、不正B-CASカードを使用すると刑法の私電磁的記録不正作出罪という立派な犯罪になるのです。
ラジオライフ編集部
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