ラジオにNHK受信料支払いが必要な時代があった
NHK受信料は「テレビ放送が映る機器を設置する人がNHKと受信契約を結び支払う」という仕組みになっています。しかし、テレビ放送が始まる以前だけでなく、テレビ放送が開始してしばらくはラジオ所有者もNHK受信料の支払いが必要でした。ラジオにNHK受信料を支払わなくて済むようになったのは、東海道新幹線開業の3年後です。
ラジオのNHK受信料は当初35円だった
NHK受信料の仕組みは、NHKが現在の特殊法人という形態になった1950年6月から存在します。それ以前の社団法人時代は、ラジオを所有するには免許が必要で、免許を受けるために「聴取料」を支払うという形でした。それが1950年6月以降はラジオを自由に所有できる代わりに、NHKと受信契約を結んで受信料を支払う形態になりました。
1950年6月に定められた最初の放送法では、NHK受信契約は535~1605kc(kHz)の周波数を受信できるラジオ設備を設置した場合、受信料を払わなければならない…となっています。ただし、ラジオ放送の受信を目的としない設備については受信料が不要となっているため、中波の業務無線局は対象外とも読み取れます。
1950年6月当時、ラジオでNHK受信契約を結びNHKに支払う受信料は月35円でした。しかし、1年もたたない1951年4月にはラジオのNHK受信料は50円へ値上げされます。さらに、1953年2月にNHKが東京でテレビ放送を開始すると、ラジオ契約に加えて新たにテレビ契約が設定され、こちらの受信料は月200円でした。
NHK受信料にラジオ契約とテレビ契約
じつは、1953年当時のNHK受信契約はテレビ契約とラジオ契約が独立しており、テレビ・ラジオの両方を設置する世帯では200円プラス50円の250円を受信料として支払う必要がありました。このテレビ・ラジオ別々にNHK受信料を支払う仕組みは、1958年3月まで続きます。
1958年4月以降のNHK受信料は「すべての放送の受信契約(契約甲)」「ラジオ放送のみの受信契約(契約乙)」となり、1968年にはこの契約乙を廃止。つまり、ラジオのみ所有する場合はNHK受信料は不要ということになったのです。
この法改正を行った1967年の国会審議をみると、NHK受信料でラジオのみの契約を廃止する理由として、テレビとラジオの普及率がほぼ同じになったことを挙げています。当時は、NHK受信料は集金人が各家庭を回り集金していたため、契約乙のラジオのみ世帯は集金コストが高く、廃止してもNHKの財政に大きな影響がないという判断でした。
ラジオライフ編集部
最新記事 by ラジオライフ編集部 (全て見る)
- NHK解約を引越しのタイミングで申請する裏ワザ - 2025年1月4日
- ウォシュレット便座をフタと同時開閉する裏ワザ - 2025年1月4日
- カギ屋がアタッシェケースに電マを忍ばせる理由 - 2025年1月3日
- B-CASカードを抜くとBS放送が視聴できない理由 - 2025年1月3日
- スマートICはなぜ「ETC」でも一旦停止が必要? - 2025年1月3日
この記事にコメントする
あわせて読みたい記事
ラジオにも受信料が必要だった時代があった?
オススメ記事
2021年10月、ついに「モザイク破壊」に関する事件で逮捕者が出ました。京都府警サイバー犯罪対策課と右京署は、人工知能(AI)技術を悪用してアダルト動画(AV)のモザイクを除去したように改変し[…続きを読む]
モザイク処理は、特定部分の色の平均情報を元に解像度を下げるという非可逆変換なので「モザイク除去」は理論上は不可能です。しかし、これまで数々の「モザイク除去機」が登場してきました。モザイク除去は[…続きを読む]
圧倒的ユーザー数を誇るLINEは当然、秘密の連絡にも使われます。LINEの会話は探偵が重点調査対象とするものの1つです。そこで、探偵がLINEの会話を盗み見する盗聴&盗撮テクニックを見ていくと[…続きを読む]
盗聴器といえば、自宅や会社など目的の場所に直接仕掛ける電波式盗聴器が主流でした。しかし、スマホ、タブレットPCなどのモバイル機器が普及した現在、それらの端末を利用した「盗聴器アプリ」が急増して[…続きを読む]
おもちゃの缶詰は、森永製菓「チョコボール」の当たりである“銀のエンゼル”を5枚集めるともらえる景品。このおもちゃの缶詰をもらうために、チョコボール銀のエンゼルの当たり確率と見分け方を紹介しまし[…続きを読む]