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NHKの文字ニュース廃止に追い込んだ張本人は?

さまざまな批判はあるとはいえ、NHKのニュースにはいまだ多くの人が信頼を置いています。とくに、台風・地震など災害時はNHKの情報量は圧倒的で、「ともかく災害が起きたらNHK」という人も多いでしょう。ところが、NHKのネットニュースから文字情報を消すべきだという議論が先日まで行われていたのです。


NHKの文字ニュース廃止に追い込んだ張本人は?


ネットサービスがNHKの必須業務に?

NHKのインターネット活用については、現在総務省が設置した「デジタル時代における放送制度のあり方に関する検討会」という研究会の部会にあたる「公共放送ワーキンググループ」で議論が進んでいます。議論のなかでは、インターネット向けのNHK受信契約や受信料をどうするかなど、さまざまな論点が登場しています。

現在、NHKが地上波テレビ番組をネット配信するサービス「NHKプラス」は、NHK受信契約の対象にはなっていません。これは、NHKが行うWebサービスは放送法上はNHKのサブ業務として行っており、NHKプラスの配信も放送そのものではなく「放送の補完」という位置づけとして、NHK受信契約の対象外となっているためです。

ところが、現在進んでいる議論は、NHKのインターネットサービスをサブではなく法律上の義務として行う「必須業務」へ格上げするというものでした。2023年8月31日に、公共放送ワーキンググループは中間とりまとめ案を発表。NHKプラスの視聴者もなんらかの形でNHK受信契約対象とみなすべき…ということになりました。


NHKは文字ニュース配信を廃止すべき

一方、NHKのインターネットサービスのうち、ニュースサイト「NHKニュースWeb」や各種NHK番組のサイトについては現状と同じく引き続き無料で楽しめるという案で当初は議論が進んでいました。これに対して猛反発していたのが、全国紙や地方紙・通信社が結成する日本新聞協会です。

日本新聞協会がとくに問題にしたのが、「NHK政治マガジン」というコーナーでした。NHK政治マガジンは、NHK政治部が放送できなかった内容を含めたさまざまな記事を発信するもので、過去にはイースター島が実は日本の領土になる可能性があったといったユニークな記事が配信されたことがあります。

日本新聞協会としては、NHKのインターネットサービスが必須業務になるとこれまで以上に独自記事が増え、新聞社の業務展開を阻害する、いわゆる「民業圧迫」であるという意見。さらに、NHKがインターネットサービスを必須業務化するのであれば、文字ニュースの配信は廃止すべきだとも表明したのです。


NHKの文字ニュースを補足情報に限定

実際、多くの新聞社ではWebサイトの有料会員を増やすことが経営上の課題となっており、NHKが文字ニュースの無料配信を続けることを脅威に感じる背景につながっています。一方、新聞社側が文字情報に加えてニュース動画を充実させるなか、逆にNHKのみに文字ニュースの提供を中止させるのは不公平ともいえます。

とはいえ、公共放送ワーキンググループも日本新聞協会の意見を無視できなかったのか、中間とりまとめ案ではNHKの文字ニュースについて「当面」は災害情報などの例外を除き、実際に放送されたニュースへの補足情報に限定。今後、第三者機関による影響評価を行った上で方向性を定める、ということになりました。

さらに、NHK側が望んでいたBS放送のネット配信についても、今後の影響を見定めつつ引き続き検討するということで当面は見送りになりました。ただし、デジタル時代における放送制度のあり方に関する検討会では、NHKのネット配信についてはより積極的に行うべきとの意見もあり、今後の動向は引き続き注目です。

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ラジオライフ編集部

ラジオライフ編集部三才ブックス
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