NHK受信料は踏み倒しても本当に問題はないか?
NHKの受信料について語られることのひとつとして「NHKの受信料を一定期間払わずにいれば、受信契約自体が無効になる」というものがあります。この説は、法律上で決まっている規定に基づいていて、あながち根拠がない説というわけではありません。NHK受信料は踏み倒しても本当に問題はないのでしょうか。

NHK受信料未払いを続けて契約無効?
NHK受信料の未払いを一定期間続けると、NHK受信契約自体が無効になるという説は、民法で定められている「定期金債権」に基づいています。定期金債権とは、毎月一定金額を支払う契約に適用されるもので、2020年3月までの民法では最初の支払日から20年、または最終支払日から10年で消滅時効(時効)が成立するとなっていました。
定期金債権は、マンションの賃貸契約などを結ぶと発生する基本債権と呼ばれるもので、民法では実際に支払うべき家賃の方は定期金債権を元に発生する「定期給付債権」であるという考え方で区別しています。この例でいえば、定期金債権は賃貸契約そのものを指しているともいえます。
この定期金債権をNHK受信料に当てはめると、NHK受信契約が定期金債権、実際に支払うNHK受信料が定期給付債権ということ。つまり、NHKの受信契約にも時効があり、NHK側が法的措置をとらないで放置していると最初の支払日から20年、または最終支払日から10年で時効が成立するという話になるのです。
NHK受信料は踏み倒しできない判決
例えば、いったんNHKと受信契約を結んだあと引越しをして、NHKに転居先を知らせずそのまま10年が経過…。すると、受信契約自体が消滅時効となるためNHK受信料を踏み倒しできるとも考えられるというわけです。
こうしたNHK受信料の踏み倒しを狙ったケースではありませんが、実際に定期金債権の時効についてNHKと争う裁判も過去に行われたこともありました。その最高裁判決が2018年に出ています。
最高裁判決では、NHK受信契約が定期金債権にあたることは認めたものの、時効を認めることは放送法の趣旨に反するという理由で、視聴者側の訴えは棄却されてしまいました。つまり、NHK受信料の踏み倒しはできないということになるのです。

ラジオライフ編集部

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