ETC領収書はインボイス制度でどう変わったか?
消費税のインボイス制度がスタートし、これまで消費税とは縁がなかった商店主やフリーランスの人たちも、消費税を納めることになりました。高速料金をETCで支払った際も、経費精算するためにはインボイス対応の領収書が必要となりますが、じつは一部のETC領収書はインボイス非対応になるので注意が必要なのです。
インボイス制度による適格簡易請求書
10月1日から始まった消費税のインボイス制度は、正式には適格請求書等保存方式という名称です。これは、消費税を政府側が把握するために導入された制度で、制度導入と合わせてこれまで消費税が免税だった事業者の多くが課税対象となるなどの問題が各種メディアで取り上げられてきました。
さまざまな取引で消費税を取引先へ支払った事業者は、これまでは領収書があれば確定申告時に自分が受け取った売上の消費税分と相殺し消費税を納めることができました。しかし、今後は消費税分を相殺できるのは「適格請求書」「適格簡易請求書」の2種類のみとなるのです。
適格請求書は、あらかじめ「適格請求書発行事業者」として登録した事業者のみ発行できる請求書で、発行した事業者の登録番号と品目ごとの消費税率、さらに請求先を明記した書式になっています。一方、適格簡易請求書は小売業などが発行するレシートに登録番号と消費税率が記載されたもので、請求先の明記は不要です。
ETC領収書代わりの利用証明書に注意
適格簡易請求書が導入されたのは、スーパーなどのレジで毎回客に名前を確認することは困難なためで、小売業や飲食店業など6業種に発行が認められています。じつは、NEXCO3社をはじめとする高速道路会社は対象業種として挙げられていませんが、小売業などに「準ずる」という形で適格簡易請求書が発行可能となりました。
ただし、ETCで高速道路を利用する場合、これまで領収書代わりに発行されていた利用証明書の一部が、適格簡易請求書にならないため要注意です。適格簡易請求書にならない利用証明書は、走行後に出口のICで入手、または通行料金確定前にETC利用照会サービスなどで印刷したものです。
これは、各種割引や料金特例が反映されていない確定前の通行料金は、消費税額も確定していないためです。ETC料金の確定までは最大20日前後かかります。今後、企業などでは従業員が利用したETC領収書の精算に時間がかかって不便…といった事態も予想されます。
ラジオライフ編集部
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