朝鮮中央テレビで放送技術ハイテク化が進む理由

北朝鮮のテレビ番組といえば、チマチョゴリを着た年配の女性アナウンサーが抑揚をつけてニュースを読み上げる朝鮮中央テレビのイメージがあります。しかし、2019年現在、朝鮮中央テレビのニュースにはドローンやCGといった最新技術が取り入れられています。一体、朝鮮中央テレビに何があったのでしょうか。

朝鮮中央テレビが演出を派手にした

2019年3月21日、北朝鮮テレビウォッチャーをザワつかせる朝鮮中央テレビの出来事がありました。朝鮮中央テレビのニュースの演出が1日限定ではあるものの、大きく様変わりしたのです。

CGを使ったアニメーション、ドローンによる空撮、ズームインやタイムラプスなどの編集、海外ニュース番組のようなCGの背景など、モダンな演出が朝鮮中央テレビで採用されました。

翌日から朝鮮中央テレビは従来の放送に一旦、戻りましたが、天気予報が4月27日の放送からCGや衛星画像を多用したスタイルに変わるなど、その後もマイナーチェンジを繰り返して進化し続けています。北朝鮮の朝鮮中央テレビの番組は見た目などは二の次でしたが、番組の作りを刷新したことには理由があるといいます。

朝鮮中央テレビよりKBSが見られる

北朝鮮では朝鮮中央テレビの番組より、DVDやUSBメモリなどを通して韓流ドラマや海外映画などの“違法”コンテンツが流行しているといいます。その人気ぶりは、一説では韓国のKBSの方が朝鮮中央テレビよりも見られているといわれるほどです。

2010年に行われたアメリカ政府の調査によると、4％の北朝鮮市民がテレビを通して韓国KBSを視聴し、24％がDVDで海外のテレビ番組を見ていると公表されました。

韓流コンテンツの視聴が禁止されている一般市民も、隠れて韓国のテレビ番組や海外の映画・ドラマを見ており、退屈でつまらない朝鮮中央テレビは人気がないとのこと。そのため、市民からもっと注目を集めるために、朝鮮中央テレビの映像の刷新が必要になったという実情があったようです。

朝鮮中央テレビを視聴する定番手法

そんな朝鮮中央テレビを見る方法は、北朝鮮政府系の新聞社などの公式サイトやYouTubeの公式チャンネルでの視聴、または非公式サイトでストリーミング配信や録画配信を見るのが定番の手法となっています。

北朝鮮のテレビ放送局は「朝鮮中央テレビ」「万寿台テレビ」「竜南山テレビ」の3局があります。その中で、毎日放送しているのは朝鮮中央テレビです。朝鮮中央テレビの番組はすべて北朝鮮政府によるプロパガンダ放送ですが、ニュース・音楽・アニメ・教育など総合的な放送内容となっています。

そんな北朝鮮の朝鮮中央テレビは、Facebookページを開設。以前の朝鮮中央テレビはストリーミング配信をしていましたが、現在は停止中です。動画をアップしたり、関連するYouTubeチャンネルのリンクが貼られているので、そこから朝鮮中央テレビの番組を視聴できます。

朝鮮中央テレビはアニメもアップ

「rodrigorojo1」は朝鮮中央テレビのFacebookページからリンクされている関連YouTube公式ページ。このなぜかメキシコから配信されていますが、レアな北朝鮮の朝鮮中央テレビの映画などが見られます。

「わが民族同士」は、北朝鮮の祖国平和統一委員会が運営するニュース＆広報サイト。Webサイト上から朝鮮中央テレビの動画が見られます。北朝鮮の朝鮮中央テレビの解像度は最大640×360ドットとまずまずです。

「エルファテレビ」は北朝鮮系組織である朝鮮総連が運営するWebサイト。朝鮮中央テレビのニュース以外に、北朝鮮製のアニメや映画、オリジナル動画などが視聴可能です。中でも注目は金正恩の指導の下、北朝鮮の朝鮮中央テレビで製作されているアニメ『少年大将』。現在、北朝鮮の朝鮮中央テレビのアニメは87話までアップされています。