公安警察が日常に潜むスパイを割り出す方法とは
世界情勢が不安定化するなか、テロはいつどこでおこるかわかりません。テロの脅威と向き合わなければならなくなった日本では公安警察、中でも外事課の強化が必要とされています。彼ら公安警察がテロや外国人犯罪に、どのように対峙しているのでしょうか。警視庁の公安部外事2課にも勤務していた元捜査官に話を聞きました。
公安警察はスパイと情で関係を作る
「我々は国家の秩序の維持を命としています。スパイ防止法がないためにスパイ活動を取り締まれず、さらに出入国の管理が比較的に緩かった日本では1990年ごろからロシアや中国からの密入国者やオーバーステイの者がどんどん増えてきました」というのがいまの状況です。
「また、日本での留学や研修で来た人のなかにも、スパイ活動をする者もいます。彼らを“スリーパー”と呼ぶのですが、日常生活に潜んで企業や国家の機密情報を盗んで本国に持ち出しているのです」と話します。
「我々は地道な監視や調査で犯罪組織やスパイ活動を割り出し、検挙するのが目的です」と語る元捜査官は、外国人犯罪組織やスパイ活動を割り出すには情報協力者“エス”を作るのが重要とのこと。エスとはスパイの頭文字からそう呼ばれます。
「情で関係を作るのです。例えば飲食店で商売をしている外国人をエスに仕立てる場合、店に通って仲よくなったり、時には金を貸したり何かと面倒をみてやります。そうしているうちに商売敵などの情報をくれるようになります」といいます。
公安警察の問題はテロ組織の把握
「偽造パスポートを作っているとか、偽造の在留資格証を持っているとかね。とりあえず軽犯で引っ張って、背後にいる犯罪組織を一網打尽に摘発…なんてこともありますよ」と話します。
犯罪組織などの摘発は比較的に情報をつかみやすい一方、いま最も公安警察にとって問題なのはテロ組織の把握です。「現状は難しいといわざるを得ません。イスラム関係を探るのにモスクや周辺を回ったりもします」といいます。
「ただ、テロリストかどうか、危険思想を持っているか見極めるのは難しいです。今では入国の際に顔認証もできますが、正規に日本に入って来られてテロを起こされたら防ぎようがない」というのが現状です。
「また、テロ組織に感化された国内の危険分子を割り出すのも困難です。これからは語学ができて、ごく細かい外国人のコミュニティにも潜り込んでいける能力が必要でしょう」と話してくれました。
ラジオライフ編集部
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