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NHKが受信料に関する裁判で敗訴した意外な事例

NHKへ受信料を支払いたくないと考える少なくない視聴者が、過去NHKと受信契約・受信料を巡る裁判を争ってきました。なかでも、NHK側から裁判を起こした場合には、NHK側が敗訴になることはまずありません。ところが、NHKが受信料に関係する裁判をおこし、最高裁まで争って敗訴した事例が過去にはあるのでした。


NHKが受信料に関する裁判で敗訴した意外な事例


NHKが地域スタッフとの団体交渉拒否

この裁判は、NHKと直接契約を結び受信料の集金や受信契約をとりつける「地域スタッフ」が結成した労働組合に関連するものでした。この労働組合は、集金の際に利用する電子決済端末の貸し出しを巡り、組合員が不当な扱いを受けたことからNHKへ団体交渉を求めたところ、NHK側がこれを拒否したことが発端です。

交渉を拒否された労働組合は、大阪府労働委員会へ2011年12月に「不法労働行為にあたる」として審査を求めました。労働委員会とは、各都道府県が設置する労働問題に関する調停や審査を行う機関。2013年7月に出された決定はNHKが団体交渉を拒否したのは不当労働行為だと認める内容でした。

ちなみに、NHKの地域スタッフが当時電子決済用に使用していた端末は「Qbit(キュービット)」という名称でした。Qbitは、NHKとの受信契約情報を登録・保存する端末「ナビタン」とは別の機器で、高価だったためか、ナビタンと異なり一部の地域スタッフのみに貸し出されていた模様です。


最高裁への上告不受理でNHK敗訴が確定

決定に不服だったNHKは、厚生労働省が設置する中央労働委員会へ再審査の申し立てを行ったものの、中央労働委員会の決定も大阪府の決定と同じ内容でした。このため、NHKは中央労働委員会の決定について取消を求める裁判を起こしたのです。この場合、裁判の相手は「国」となり、民事訴訟と区別して「行政訴訟」を呼ばれます。

審査や裁判を通じ、NHKがこだわり続けたことのひとつが、地域スタッフは労働者ではないという点です。地域スタッフは、NHKと業務委託契約を結んだ個人事業主のため、労働者であれば認められるはずの団体交渉権はないというわけです。

これに対し、労働組合側は勤務実態からみて地域スタッフは労働者にあたると主張。その結果、大阪府労働委員会・中央労働委員会が出した決定はいずれも労働組合側の意見を取り入れ、地域スタッフは実質的に労働者にあたるため、労働者に認められた権利は保障されるというものでした。

それでは、NHKが訴えた裁判の方はどうなったのでしょうか? じつは、こちらについてもNHKが追加証拠を提出するなどして争ったものの、東京地裁では中央労働委員会の決定は覆りませんでした。その後、NHKは東京高裁へ控訴しますがこれも棄却に…。最高裁への上告も不受理となったため、NHK側の敗訴が確定しています。

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ラジオライフ編集部

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