NHK受信料の全額免除の範囲が大幅に緩和される

実家を離れ一人暮らしを始めた学生にとって、月1000～2000円を支払うNHK受信料の負担はばかになりません。NHK側もその点を意識しているのか、学生向けのNHK受信料免除の範囲を拡大することを計画。現在は奨学金を受ける学生がおもな対象ですが、10月からは奨学金なしの学生も免除対象となる予定です。

NHK受信料の全額免除に3条件が追加

NHK受信料には、さまざまな事情で支払いが厳しいと考えられる視聴者向けの免除制度があります。なかでも、両親などと離れて暮らす学生については幅広い免除制度を用意。現在でも奨学金給付や授業料免除を受ける、あるいは両親が市町村民税非課税や公的扶助を受けている場合はNHK受信料が全額免除です。

さらに、2023年10月以降、NHKは学生向けの受信料免除範囲を拡大する計画で、現在受信料免除基準の改正素案をWebサイトに公開。NHK経営委員会が、この素案についてパブリックコメントを募集していました。

公開された素案によると、NHK受信料全額免除対象となる学生として新たに年収130万円以下であることや国民年金の納付猶予を受けている、健康保険上扶養家族になっている…の3条件が追加。奨学金は一定以上の学業成績が受給に必要ですが、成績条件に満たない学生でもNHK受信料全額免除が適用となります。

NHK受信料全額免除は専門学生も対象

実家を離れるかどうかにかかわらず、アルバイト収入を103万円以下に抑えている学生は少なくありません。これは、年103万円を超えてしまうと両親の所得税・住民税の扶養対象から外れてしまうためで、学生のアルバイト収入を103万円以下に抑え不足分を両親が援助したとしても、世帯全体でおトクになることもあるのです。

予定通りNHK受信料免除基準が改正された場合、両親からの仕送りとアルバイト収入の組み合わせで生活する学生の多くが全額免除対象となります。ちなみに、国民年金の納税猶予は年収128万円以下、社会保険の扶養控除は年収130万円以下が対象となっているため、年収103万円以下より条件は緩くなります。

なお、「学生」は一般的には大学生・大学院生を指す用語ですが、NHK受信料免除基準では学校教育法上の学生・生徒を意味するという規定になっています。そのため、学校教育法では「学生」にあたる高等専門学校（高専）生や「生徒」となる中学生・高校生・専門学校生も、NHK受信料免除の対象範囲です。

とくに、寮生活が基本で高学年（4年生以上が多数派）になると個室でのテレビ使用が認められる高専生の場合、NHK受信料全額免除の対象範囲拡大はありがたいところでしょう。ただし、NHK受信料の全額免除を受けるためには、一旦NHKと受信契約を結んだうえで受信料免除申請を行う必要があります。