パナマ文書でアイスランド首相が辞任する経緯
パナマ文書で最初に話題になったのは、アイスランド首相であるシグムンドゥル・グンラウグソン。パナマ文書を検索すると、ウィントリス社の株主であることがわかります。これだけでなぜアイスランド首相が辞任にまで追い込まれてしまったのか、その経緯を詳しく解説します。
パナマ文書で利益相反が判明
パナマ文書でグンラウグソンがウィントリス社の株主であることは、政治家としては致命的な情報でした。ウィントリス社は、グンラウグソンの妻がルクセンブルクの銀行を介してパナマの企業から購入したペーパーカンパニーです。
2009年までは彼も半分の株を所有して資産管理を行っていました。その後2009年に当選して国会議員となったため、妻に自分の持ち分を1ドルで売却しています。
アイスランドは2008年に金融危機に陥り、多くの銀行が破綻。ウィントリス社は資産運用でアイスランドの銀行債に投資していたため、アイスランドの大銀行の債権者の1つとなりました。そして、2015年になって破綻したアイスランドの銀行の債権者との交渉に臨んだのが、グンラウグソンだったのです。
彼が2013年に改革の旗手として首相に就任していたからですが、当然債権者にはウィントリス社、すなわち彼の妻も含まれます。これは利益相反です。
アイスランド首相を辞任する
厳密にいえば、グンラウグソンは違法行為を犯したというわけではありません。そもそも既に銀行は破綻しているわけで、今さら彼が私利私益を追求できたかといえば、それも疑問ではあります。
しかし、テレビのインタビューを受けている最中、ジャーナリストに突然ウィントリス社の話を持ち出されて動揺。ついには逃げ出してしまったグンラウグソンの姿が決定打となります。
彼がこのウィントリス社の存在に後ろめたさを感じていたことを、誰の目にも明らかなかたちで露呈してしまいました。間もなく激しい抗議運動の中、グンラウグソンはアイスランド首相を辞任することとなります。(文/八田真行)
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ラジオライフ編集部
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