特定小電力無線を導入するメリットとデメリット
無線の免許が無くても自由に使える無線が、ライセンスフリー無線です。ライセンスフリー無線と聞くとホビーユースのように聞こえますが、本来は広く業務用に制度化された無線です。周波数帯別に何種類かあり、その中で最も手軽に使えるのが特定小電力無線で、略して「特小」と呼ばれます。特定小電力無線を詳しく見ていきましょう。
特定小電力無線には金銭的なメリット
特定小電力無線にはデジタル方式もありますが、高価格でユーザーは限られてきます。ほとんどすべてがアナログ波を使っているので受信可能です。ただし、特定小電力無線には音声反転式の秘話モードが搭載されており、会話の抑揚は分かるものの音声は“モガモガ”としか聞こえません。
音声に戻すためには、解読機能を搭載した受信機が必要。解読機能が無いと手も足も出ません。しかし、実際に受信してみると、秘話を使っているケースはごくまれ。手軽に使える特定小電力無線なので、余計な設定をかけていないのでしょう。
もし、秘話通信が聞こえてきたらスルーしてOK。特定小電力無線は通話が多いので、もっと面白い交信が聞こえてくるからです。そんな気持ちで気楽に受信しましょう。
特定小電力無線には金銭的なメリットもあります。同じライセンスフリー無線のデジタル簡易無線登録局は「登録」の名の通り、総合通信局へ登録書類の送付が必要で、その際に2,900円の手数料が発生します。さらに年間の電波利用料が、1台400円かかるのです。
特定小電力無線には大きなデメリット
一方、特定小電力無線はこれらの費用が一切不要。無線機の維持コストがかからないことから、業務ユーザーが注目しているのです。簡易無線から特定小電力無線に乗り換えたり、今まで無線とは縁の無かった業種が、特定小電力無線を導入するようなりました。
メリットばかりの特定小電力無線ですが、大きなデメリットもあります。それは電波の飛距離を左右する送信出力がとても弱いことです。簡易無線が5Wまで出せるのに対して、特小は500分の1のわずか0.01W(10mW)です。
数値の上ではとても小さいのですが、概ね100~200mが通信距離になります。これなら、大型店のフロア内や駐車場内でも、十分に使える距離です。ただし、上下階での通話は床や天井が遮蔽物になるので苦手です。
通信距離が短いということは、受信の際は、現場で行うことになります。特定小電力無線を使っている使用者を目視できる距離感での攻撃的な受信が必要です。(文/さとうひとし)
ラジオライフ編集部
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