簡易無線は35波が自由に使える460MHz帯が主力
アナログ波の簡易無線には、154MHz帯に9波と460MHz帯に35波が割当てられています。どちらも出力は5Wです。そしてもう1つ、348MHz帯に小エリア簡易無線が割当て。こちらはボディがコンパクトで出力は1Wになっています。20チャンネルを自由に使えるというメリットがあり、5Wの簡易無線機よりも価格が安価でした。
簡易無線の460MHz帯は当初は1波割当て
大阪府のテーマパーク、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでは開園当初から大量に使われていましたが、既に別のシステムに移行しています。普及することなく終わってしまいました。早い段階で351MHz帯のデジタル簡易無線登録局へ移行し、運用局は極めて少ないようです。
簡易無線は当初、154MHz帯から利用開始となったのですが、使用者が増加して混信が発生。これを解消するために460MHz帯が追加され、チャンネル数が多い460MHz帯が主力になっていきました。
460MHz帯は周波数の波長が短いのでアンテナが短くて済みます。携帯して使用するハンディ機に適していたことも普及に功を奏したようです。また、当初は決められた1波が割当てられ、周波数の変更はできなかったのですが、現在は35波を自由に切り替えられるようになっています。
混信を避けたり、部署ごとにチャンネルを分けることも可能に。使い勝手が各段に向上したのです。しかし、受信する側は大変です。1波を見つけても同じ使用者が、他の周波数を使っている可能性を捨て切れないからです。
簡易無線の周波数を警備で使い分け
例えば、ショッピングセンターのガードマン。警備会社が施設全体の警備を受諾している場合は本館と別館、そして駐車場で簡易無線の周波数を使い分け、担当場所以外の連絡を聞かないようにして、それぞれの業務に集中させます。
この場合、「防災センター」などのコールサインを使う基地局に隊長がいて、すべての交信を受信しています。重大な事案や災害が発生したら、隊長は共通波へチャンネル変更を指示して、各部署が連携して対応にあたるのです。
アナログ簡易無線は、2年後までにデジタル簡易無線やIP無線に移行してしまいますが、一部のショッピングセンターでは警備のガードマンだけではなく、敷地内で行われるイベントの運営やテナントの店内連絡などで、簡易無線が生き残っています。
そして街中など、人が大勢集まる場所で簡易無線の周波数をスキャンすれば、まだまだ交信が聞こえてきます。その中から意外な使用者を探し出すのも楽しみ方の一つです。(文/さとうひとし)
ラジオライフ編集部
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