スクランブルする戦闘機も公開周波数で離陸許可
2022年4~9月の半年間で、航空自衛隊の戦闘機が日本の領空に近づきつつある国籍不明機(アンノウン)に対処するスクランブル(緊急発進)は446回。昨年度よりも増加しており、1日平均2.5回程度の緊急発進がありました。その76%が中国機に対するもので、東シナ海の南西空域で活発な動きを見せています。
スクランブルする戦闘機も公開周波数
タワー(TWR)やアプローチ(APP)といった、航空機の離着陸を行う基地の飛行場に割当てられた管制の周波数は、民間の空港と同様にすべて公開されています。
このため、スクランブルする戦闘機も離陸に際しては、公開されている飛行場用の周波数を使います。離陸後は、対領空侵犯措置を行う管制席に移行しますが、その周波数は非公開です。なぜ、周波数を明らかにしないのでしょうか。
それは自衛隊機が遂行する軍事任務で使用する周波数だから。大げさにいえば、国防上の機密です。とはいえ、AMモードのアナログ波で秘話装置を使わない通信なので、エアーバンドが聞ける受信機で傍受できます。
スクランブルする戦闘機は離陸後、対領空侵犯措置を行う管制席に移行。その周波数は非公開です。この非公開周波数はGCI(ジーシーアイ)と呼ばれ、これはGround Controlled Interceptの略号です。日本語では「地上要撃管制」となります。
スクランブルした戦闘機に位置情報
GCIは地上要撃管制という名前の通り、日本沿岸部に多数設置されたレーダーサイト(防空監視所/Surveillance Station)が、国籍不明機の接近を検知して領空に近づいて来る時に使用されます。
GCIの用途は、スクランブルで迎撃に上がった戦闘機に、目標までの距離や動向といった情報を伝えたり、迎撃戦闘機からの位置通報を、基地の飛行隊に中継する際に使われる無線です。究極的には、地上から戦術情報を与えて、空中戦を優位に進めるための軍事システムになります。
航空自衛隊に限らず、海上自衛隊と陸上自衛隊の航空部隊も、スクランブル発進など用途に応じた非公開周波数をたくさん使用していますが、エアーバンダーはそれらをひとまとめにしてGCIと呼んでいます。これらのGCIを受信すると、管制の周波数とは全く違った交信が聞こえてきます。(文/さとうひとし)
ラジオライフ編集部
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