可搬式オービスが全国で続々導入されている理由
「可搬式オービス」がいま、全国の警察に続々と導入されています。可搬式オービスは、従来までの固定式オービスと違って、神出鬼没な新しいスピード違反取り締まりが可能です。このため、ドライバー側がその取り締まり情報を把握しきれていないのが実情。今後も増え続けることが確実な可搬式オービスについて見ていきましょう。
可搬式オービスにレーザーとレーダー
「可搬式オービス」とは、警察庁の肝いりで導入が進む新しいスピード違反取り締まりシステムです。可搬式オービスは装置一式で20kg程度と持ち運びが可能で、設置場所を自由に選べることが最大の特徴です。
現在、可搬式オービスは東京航空計器製のレーザー式「LSM-300」「LSM-310」と、センシス・ガッツォ製のレーダー式「MSSS」という、レーザー式とレーダー式の2タイプが稼働中です。
ネズミ捕りによるスピード取り締まりには最低5人の警察官が必要ですが、可搬式オービスなら警察官2人から取り締まりが可能。しかも、可搬式オービスは後日呼び出す方式のため機材を設置する場所さえあればOKです。
可搬式オービスで青キップの速度違反
可搬式オービスが導入されるようになった当初の目的は「30km/h制限の生活道路での危険なスピード違反を取り締まるため」でした。たしかに、ネズミ捕りなどを行うスペースが生活道路にはないため、可搬式オービスが有効です。
実際、これまでオービスによる取り締まりは、赤キップ以上のスピード違反というのが常識でした。しかし、可搬式オービスでは青キップのスピード違反を取り締まっているという報告もあります。
さらに、最近では可搬式オービスによる幹線道路での取り締まりも増加中。首都高速や名古屋高速での目撃例もあります。このような使い勝手の良さから、今後も各都道府県警が可搬式オービスの購入・配備を進めることは容易に予想されるのです。
可搬式オービスの価格は1台1000万円
可搬式オービスが登場した当初、各都道府県警が選ぶモデルはLSM-300が圧倒的でした。しかし、2018年12月に行われた北海道警の入札でMSSSが巻き返しを図ります。この際、LSM-300の入札価格1000万円に対し、MSSSの代理店である沖電気は698万円を提示。見事、可搬式オービスの落札に成功しました。
実は、698万円という価格はディスカウントだったようで、北海道警がその後に可搬式オービスにMSSSを追加導入した際の落札価格は850万円でした。とはいえ、LSM-300の標準的な価格が1000万円だとすれば、より割安なMSSSに可搬式オービスのシェアを奪われ続けてしまいます。
そこで、東京航空計器陣営も2020年10月の埼玉県警の入札で巻き返しを図ります。この入札は可搬式オービス4台でしたが、東京航空計器の代理店であるカナデンの入札価格は3392万円と、1台あたり848万円でした。ちなみに、この際に埼玉県警が導入した可搬式オービスはLSM-300ではなく、新型のLSM-310であることが同県警の発表により判明しています。(写真提供/オービスガイド)
ラジオライフ編集部
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