10GHz帯レーダー式オービス撤去されている理由
オービスがスピードを測る方法には3つの方式がありますが、そのひとつが高い周波数の電波を当てて測るレーダー式でした。しかし、2010年代に入りレーダー式オービスのうち10GHz帯を使うタイプの撤去が続々と進み、いまではその数が全盛期の1/5以下になってしまいました。いったいなぜ10GHz帯のレーダー式オービスはが廃れたのでしょう。
レーダー式オービスに多くのメーカー
オービスがスピードを測定する方法には、大きく分けて「レーザー式・ループコイル式・レーダー式」の3種類が使われています。このうち、レーザー式は2010年代後半から導入された比較的新しいタイプで、レーザー光源を利用した「光干渉計」という装置でスピードを測定します。
一方、古くからあるオービスの測定方式がレーダー式とループコイル式で、レーダー式は自動車に向けて発射した電波が反射して戻ってくる際にスピードに応じて周波数が変化する「ドップラー効果」を利用。ループコイル式は、道路下面2地点に誘導コイルを設置し、自動車が2地点を通過する時間から速度を割り出す仕組みです。
国内のオービス製造メーカーでは、東京航空計器はループコイル式、その他のメーカーはレーダー式を採用していました。これは、ループコイル式は東京航空計器が国内独占ライセンス契約を結んでいたためで、三菱電機などその他メーカーはレーダー式でオービスへ参入することになったという事情が関係しています。
三菱電機などが製造するレーダー式オービスでは、発射する周波数帯として古くからレーダー用として認可されていた10GHz帯が使用されています。ところが、この10GHz帯を利用するレーダー式オービスは、2010年代以降は設置台数を減らし続けているのです。
レーダー式オービスにスプリアス規格
10GHz帯を利用するレーダー式オービスが減っている一番大きな理由は、大手製造メーカーである三菱電機・NECといった事業者がすべて製造・販売から撤退してしまい、新規に設置されることがないためです。新規の設置がなければ、既存のオービスが修理不能で撤去されることで、設置台数自体が減っていくことになります。
さらに、無線に関する規制「スプリアス規格」が新規格へ変更されることも、古いタイプのレーダー式オービスに影響を与えています。スプリアス規格とは、レーダー式オービスをはじめとする無線機が使用周波数以外に発信する電波「スプリアス」の量を規制するもので、当初は2022年12月から全面的に新規格へ移行する予定でした。
スプリアス規格が新規格へ移行した場合、実際に出ているスプリアス量とは関係なく、新規格の認証を取らない限り、その無線機を使用することは違反となってしまいます。このため、古いタイプのレーダー式オービスを使用し続けるには再認証手続き(場合によっては改造)に費用がかかるため、廃止・撤去を進める要因につながっているのです。
とはいえ、古くからあるレーダー式オービスが2022年11月末ですべて撤去されるかというと、そうとは限りません。その理由は、まずスプリアス規格の新規格移行が、国の方針で当面の間は延期されたこと。もうひとつは、三菱電機製のオービス「RS-2000B」の一部は、実は新規格認証をすでに受けているためです。
ラジオライフ編集部
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