大量導入された移動式オービスMSSSの値段が判明
全国各地の都道府県警で導入が進み、目撃情報もネットに数多く寄せられている移動式オービスですが、目撃情報の多くは東京航空計器が製造するモデルです。ところが、千葉県警に関しては事情が違い、現在稼働中の10台すべてがセンシス・ガッツォ製の「MSSS」で、そのうち7台は千葉県警側からの「指名買い」だったのです。
移動式オービスでMSSSはマイナー扱い
2022年に入り新潟県警が導入を決めたことで、移動式オービスは全国47都道府県で稼働することになりました。各都道府県のなかでも、ナンバーワンの10台を配備する千葉県警ですが、台数の多さに加えて10台すべてがセンシス・ガッツォ製の「MSSS」であることが特徴です。
移動式オービスは、現在東京航空計器製のLSM-300・LSM-310とセンシス・ガッツォ製のMSSSの3種類が稼働中です。新潟県警は、2022年度中に日本無線製の新機種を導入予定で今後は4種類となるものの、先行する3モデルのなかではMSSSは導入台数が少ないマイナーな存在となっています。
ところが、導入台数ナンバーワンの千葉県警ではこれまでMSSSのみを採用し続けています。警察に限らず、官公庁の備品は競争入札で採用機種を決めるのが基本です。となると、センシス・ガッツォ側が毎回入札価格で東京航空計器に競り勝ってきたと考えられそうですが、実は違うのです。
移動式オービス1台目の値段は698万円
千葉県が最初に移動式オービス1台の一般競争入札を行ったのが、2019年5月のこと。この際は、東京航空計器の代理店であるカナデンとセンシス・ガッツォの代理店にあたる沖電気が応札し、より低い価格を提示した沖電気が698万円(税抜。以下同様)で落札しました。
また、2回目に移動式オービス2台を導入する際も2021年7月に一般競争入札が行われ、カナデンの入札価格2000万円に対し沖電気は1700万円を提示し落札に成功。1台あたりの価格は850万円ということになります。ところが、3回目に7台導入する際には一般競争入札が行われていないのです。
2021年9月に結ばれた移動式オービスの契約は、入札によらない随意契約でした。随意契約は、製造メーカーが1社しか存在しない、あるいは納期が短く入札をしている時間がない場合に使われる契約方法で、発注先を官公庁側で選べる一方で、価格競争がなくなるため理由がない場合には使用が禁止されています。
移動式オービスの値段は1台800万円
千葉県が2022年9月に結んだ移動式オービスの随意契約は、移動式オービスの増強が直前の千葉県議会で決まったため、随意契約を選べる理由自体は存在しました。随意契約にすると、官公庁側は発注先の「言い値」で購入するため価格が高く付きそうに思われますが、2022年9月に結んだ随意契約は価格面でも有利なものでした。
千葉県側と沖電気が結んだ契約書類を見ると、沖電気側が最初に提示した見積もりが5600万円で、1台あたりにすると800万円。つまり、2021年7月の入札価格から計算した1台あたりの金額にあたる850万円より安いのです。
千葉県側がなぜ移動式オービスの契約先として沖電気を選んだのかについては、入手できた契約関連書類を見る限りははっきりしません。ただし、7台という大量発注を行ったということは、千葉県警が沖電気が販売するMSSSに大きな信頼を置いていることは間違いないといえるでしょう。
ラジオライフ編集部
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