NHK受信料で2倍の「割増金」意外な前例があった
現在、国会での審議は行われていませんが、今年の春に発表された放送法改定案では、NHK受信料に関して法律上「割増金」をとれるようになるといった内容が盛り込まれていることが話題となりました。法律上、契約について割増金を取れると決めることは珍しいのですが、調べてみたところ意外な業界に前例があるのです。
NHK受信契約の割増金は受信料の2倍
法律で「5割増し」といったように割増金が設定されることはあまり例がありません。脱税した際に支払いを命じられる追徴課税、あるいは独禁法違反で話題となる課徴金など政府が徴収する割増金はあるものの、NHKのような政府ではない企業との契約に法律で割増金を設定するのは異例といえます。
しかも、現在のところ法律ではなくNHK受信契約に定められている割増金の率は受信料の「2倍=200%」とされており、ここまで高い割増金が契約上設定されることは通常ありません。借金の返済が遅れた際に請求できる「遅延金損害金」という仕組みはあるものの、利息制限法で年29.2%以下と決められているのです。
そこで、2倍という割増金について、NHK受信料同様に法律で決められている例があるかどうかを調べてみたところ、意外な業種の法律で2倍の割増金が認められていることがわかりました。それは、高速道路に関する「道路整備特別措置法」です。
NHK受信契約を結ばないだけで割増金
道路整備特別措置法は、高速道路をはじめとする有料道路が通行料金を徴収する根拠になる法律で、条文のなかに「料金を不法に逃れた者」からは料金の2倍にあたる割増金を徴収できるといった定めがあります。
また、法律ではありませんが、道路整備特別措置法に先がけて戦前に制定された「鉄道運輸規則」という政令があり、鉄道へ無賃乗車をした際には運賃の2倍を「増運賃」として請求できるとされています。道路整備特別措置法の割増金についても、こちらの政令を参考にして割増率を定めたといえるでしょう。
一方、放送法改正で定めようとしている割増金は、NHKが映るテレビを持ちながらNHK受信契約を結ばない視聴者も対象としています。NHKと受信契約を結ばないだけで鉄道の無賃乗車や高速道路の不正走行と同じ率の割増金を適用してよいのかどうか、今後議論となることは間違いないでしょう。
ラジオライフ編集部
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