ID-51は魅力の録音機能で留守録サーチができる
アイコムはD-STARというアマチュア無線のデジタル通信規格の普及を推進してきました。その推進を図るべく、市場に送ったアマチュア無線機が「ID-51」です。受信周波数帯や操作性にやや難はあるものの、留守録サーチもできる録音機能が魅力。ID-51を詳しく見ていきましょう。
ID-51の見過ごせない欠点とは
ID-51の受信周波数範囲は広帯域ではなく、AMモードのみの108~136MHzと、FMモードだけになる137~174MHzと380~479MHzです。これに加えてAMとFMのラジオ放送帯をカバーします。
消防無線を筆頭にVHF帯やUHF帯のおもしろ無線のジャンルはほぼ受信できますが、380MHz以下に割り当てられるJRの鉄道無線や官庁系の無線、警備無線などがカバーされていません。
そして、エアーバンドはVHF帯のみになっています。さらにミリタリーエアーバンドである138~141MHzはFMモードしか設定できないので、AMモードのミリタリーエアーバンドは実質的に受信できないのです。FMモードにおいては2波同時受信機能は難なく動作しますが、VHF帯エアーバンドでは機能しません。
メインバンドとサブバンドにVHF帯エアーバンドの周波数をセットすると、サブバンド側は強制的にミュート(消音)されてしまうのです。エアーバンドを受信する人には、受信周波数帯が極度に狭いため、聞けるところは全域にわたって高感度をマークしている。見過ごせない欠点となります。
ID-51の夢のような録音機能
2波同時受信機能とエアーバンドの相性は悪いのですが、AM/FMラジオ放送を聞きながら2波同時受信ができる機能をID-51は搭載。おもしろ無線の電波が入感すれば、即座にラジオ放送の音声は自動的にミュートされて、間髪をいれずにおもしろ無線が聞こえてきます。
ID-51にはおもしろ無線マニアにとっては夢のような機能が搭載されています。それは録音機能です。microSDカードに記録するために、録音時間もとても長く、2Gバイトのカードで約30時間まで録音。最大32Gバイトまで対応します。もちろん、スケルチ連動の録音も可能なので、無音状態でメモリーを浪費するなんてこともありません。
そしてID-51が優れているのは録音時間だけではありません。録音した音声の周波数や日時、Sメーターの振れ具合、GPS機能をオンにしておけば受信位置の緯度経度までも記録してくれるのです。これにより単なる録音ではなしえなかった、交信と周波数を一致させることができるようになったのです。
ID-51は留守録サーチができる
この機能は留守録時に絶大な威力を発揮。交信の少ない無線局の周波数を24時間監視下において、無線の使用実態の調査も可能になります。留守録+サーチによって未知の周波数を探すことも可能。ファイル名は自動的に「年月日時分秒」になり、管理もしやすいWAV形式のためPCでの再生も可能です。
録音機能が卓越しているだけに受信できる周波数範囲からくる不満は大いに残りますし、D-STAR運用を全面に押し出した操作性は受信機とは異なるため、慣れるまでは大変かもしれません。
それでも隙のない録音機能に魅力を感じるのであれば、ID-51は迷うことなく“買い”となる無線機です。
ラジオライフ編集部
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