最近の4KテレビにB-CASカードが付属しない理由
4K放送がスタートしてから3年以上がたち、電気店に並ぶテレビは小型モデルを除きほとんどが4Kチューナー内蔵となっています。4Kチューナー内蔵テレビを手に入れてまず気づくのが、付属品にB-CASカードが見当たらないこと。これは、4KテレビではこれまでのB-CASに変わるACASを採用し、ACAS用チップはテレビに内蔵されているためです。

B-CASカードがないと放送が視聴不可
地デジを含むデジタルテレビ放送の受信には、かつて「B-CASカード」が欠かせませんでした。B-CASカードは、2000年にBSデジタル放送の有料チャンネルの視聴制限向けとして導入されたB-CAS方式を利用するためのカードで、2004年以降は無料チャンネルのコピー制限向けに用途を拡大されました。
B-CAS対応のデジタルテレビの場合、B-CASカードを専用スロットに差さないと、BSデジタル・110度CS・地デジの各チャンネルは無料・有料にかかわらず視聴できません。そのため、B-CASカードが壊れた際には、発行元の「ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ」に再発行してもらう必要があります。
一方、リビングにあるテレビのB-CASカードを抜き、寝室のテレビに差して利用するといった使い方もかつては可能でした。そのため、110度CS放送の有料チャンネルを1契約だけ結び、B-CASカードの抜き差しで複数テレビで楽しむ人も少なくありませんでしたが、2021年4月以降この抜き差しは規約上禁止されています。
B-CASカードが必要ない最近のテレビ
2000年の導入以来、20年以上使われているB-CAS方式とB-CASカードですが、最近発売されている4K対応テレビにはB-CASカード用のスロットは用意されていません。これは、4K対応テレビではB-CASに変わる新方式「ACAS」が採用されているためです。
B-CASカードが必要なB-CAS方式と違い、ACASではテレビ内蔵型チップを採用。テレビを購入したユーザーがカードを差す必要がなくなりました。カード方式のB-CASから内蔵型のACASに置き換えられた最大の理由は、不正カードの利用を防ぐためです。
実は、B-CASカードを改造して有料チャンネルを不正視聴する手口自体は2010年代前半からネットで出回っており、2012年にはすでに不正B-CASカードの販売で逮捕される事例も起きています。そのため、B-CASカードでは64ビットだった暗号鍵を、ACASでは128ビットに増やし、セキュリティが強化されているのです。

ラジオライフ編集部

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