90年代に390MHz帯の盗聴器が爆発的に売れた理由
多種多様な使用者と周波数が、街中の無線では使われています。これらは総務省が規定した割当て原則によって、周波数と出力が決められています。ところが、街中には割当て原則を逸脱した電波が存在しているのも事実。それが、1980年代から存在している「盗聴器」です。街中で受信できる盗聴器の電波の変遷を見ていきましょう。

80~90年代は140MHz帯の盗聴器が主流
「盗聴器」とは、他人のプライバシーを暴くために仕掛けられた、電波発信機からの電波です。この電波発信機は、電波法で規定された無免許で使用可能な微弱電波の制限を超えた電力を送信する違法な機器で、その用途から盗聴器と呼ばれています。
違法な盗聴器には、割当て周波数はありません。盗聴器はどの周波数を使っているのかは分からないのです。周波数が不明であることは、盗聴器の電波が発見されにくいことにつながり、盗聴器を仕掛ける人間には大きなメリットになります。
とはいえ、盗聴器も工業製品なので、特定の周波数が使われているのです。1980年代から1990年代前半は、VHF帯の140MHz帯を使った盗聴器が主流でした。しかし、当時の140~150MHz帯は無線局が多く、混信などで使いにくかったのです。
電波式の盗聴器は急速に数を減らす
解決策として、1990年代半ばにUHF帯の390MHz帯を使った盗聴器が登場。今では普及している小型のICレコーダーや擬装カメラといった情報収集機器が、当時はまだ存在していなかったため、このUHF帯の盗聴器は爆発的に売れたといいます。
UHF帯の盗聴器の周波数は3波あり、A・B・Cのチャンネル名が付いていました。「Ach=398.605MHz/Bch=399.455MHz/Cch=399.030MHz」です。
2010年代に入ると、安価で小型のICレコーダーやスマホが普及し、手軽に使える情報収集機器の選択肢が増えました。そのため、電波式の盗聴器は急速に数を減らしています。
とはいえ、世情が悪くなってくると、企業内のトラブル、家庭内や親族との揉め事などが増えてくるものです。そういう内部での情報収集には、電波式盗聴器にも活用の余地があるようで、盗聴器の電波が途絶えることはありません。(文/さとうひとし)

ラジオライフ編集部

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