横断歩行者等妨害等を警察が取締りを強化する理由
交通違反といえば、駐車違反やスピード違反がまず思い浮かびますが、そのほかにも一時停止違反や横断歩行者等妨害等の違反などさまざまな違反が存在。なかでも、ここ数年、警察が取り締まりに力を入れているのが、歩行者が待つ横断歩道で一時停止をしないという横断歩行者等妨害等の違反です。横断歩行者等妨害等の違反はどの程度の罰則があるのでしょう。
横断歩行者等妨害等の摘発を強化した
横断歩道は、信号機付きの交差点のほかに信号機がない場所にも数多く設定されています。信号機のない横断歩道の場合、基本的に歩行者優先となり、自転車を含む車両側は一時停止をしなくてはならず、守らないと「横断歩行者等妨害等」という違反になります。
横断歩行者等妨害等の違反は、最近摘発を強化しているもので、警察庁は「信号機のない横断歩道における歩行者優先等を徹底するための広報啓発・指導の強化について」という通達を2018年10月に各都道府県警に出しました。横断歩行者等妨害等の違反の摘発を強化した背景には、日本自動車連盟(JAF)が毎年行うある調査結果が影響しています。
JAFは、加入ドライバー向けにロードサービスを提供することで知られていますが、シートベルト着用状況などさまざまな調査を継続的に実施。そのひとつが「信号機のない横断歩道実態調査」で、2018年に実施された調査では信号機のない横断歩道に歩行者がいた場合、一時停止する自動車はわずか8.6%だったのです。
横断歩行者等妨害等の摘発強化の影響
この調査は、各都道府県で2か所の横断歩道を選びJAFの調査員が実際に横断歩道に各50回ずつ横断を試み、一時停止しなかった自家用自動車の台数を数えるという方法で行われました。一時停止する自動車の割合は都道府県でばらつきがあり、2020年調査では長野県が72.4%なのに対し、宮城県は5.7%にとどまっています。
警察庁が横断歩行者等妨害等の違反の摘発を強化した影響もあり、2019年調査では17.8%、2020年調査では21.3%と、信号機のない横断歩道に歩行者がいた場合に一時停止する自動車の割合は増加傾向です。とはいえ、いまだに約8割の自動車が一時停止しないことになり、まだまだ横断歩行者等妨害等の違反が浸透しているとはいえないでしょう。
一時停止する割合が一番低かった都道府県は宮城県に続いて、東京都が6.6%、岡山県が7.1%となり、これらの県では10台に1台も一時停止してくれないという結果です。ちなみに、全国平均は21.3%と、2018年調査時の8.5%から改善傾向ではあります。
横断歩行者等妨害等の反則金と点数
横断歩行者等妨害等の反則金は普通車(軽自動車を含む)では9千円になります。ちなみに大型車は1万2千円、バイクは7千円、原付自転車と小型特殊自動車が6千円です。横断歩行者等妨害の違反は駐車違反やスピード違反より反則金は安いとはいえ、1万円近い金額は痛い出費です。
また、違反点数は横断歩行者等妨害等の場合2点です。横断歩行者等妨害の違反は青キップで済む違反ではありますが、他に駐車違反やスピード違反等で違反点数が溜まっている人にとって、2点は免許停止につながるので注意が必要でしょう。
なお、警察庁の通達では自動車だけでなく歩行者へも「横断歩道付近における横断歩道外横断等法令違反に対する指導を的確に実施すること」とあります。横断歩道以外で歩行者が道路を渡ると避けるのが難しいので、自動車の取り締まりだけでなくこちらも徹底してほしいところです。
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ラジオライフ編集部
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