可搬式オービスでその場で違反切符を切るケース
幹線道路だけでなく、生活道路でも速度違反の取り締まりに使われる「可搬式オービス」は、ドライバーにとって恐怖の存在になっています。さらに、これまでのオービスと違い可搬式オービスは、その場で違反切符を切られるパターンもあるため油断できません。可搬式オービスが現場で違反切符を切るのはどのようなケースでしょうか。
可搬式オービスは警察官が立ち会い
高速道路や主要幹線道路に設置された固定式オービスは、保守・点検時期を除くと24時間連続で速度違反の取り締まりを自動で続けています。これに対し、各都道府県警が導入を進める可搬式オービスは、取り締まりを行うたびに警察官がオービスの設置・撤去を行う仕組みです。
可搬式オービスは、重量が数十kg程度と軽量なため、固定式のように取り締まりポイントに放置して無人で取り締まりを行おうとすると、オービス自体を盗まれる危険性があります。そのため、現在のところ、可搬式オービスの取り締まりは警察官がその場に立ち会うことが基本です。
さらに、取り締まり現場に警察官が立ち会うことから、可搬式オービスではその場で速度違反車を制止して違反切符を切ることも不可能ではありません。実際、交通警察の専門誌『月刊交通』2021年7月号に掲載された記事によると、福岡県警ではその場で違反切符を切ることもあるというのです。
可搬式オービスでその場で違反切符
この記事は、福岡県警における可搬式オービスの取り締まり方法を、同県警交通指導課長が解説するといった内容。可搬式オービスの取り締まりは固定式オービス同様に後日、警察署へ呼び出して違反切符を切る運用を原則としつつも、場合によっては取り締まり現場で違反切符を切ることも行われているのです。
その場で違反切符を切るケースとして、記事が挙げている例が2つあり、1つは対象車両が二輪車であるというもの。二輪車の場合、正面からオービスで撮影をしてもナンバープレートが映らないため、その場で違反切符を切らないと取り締まり自体が成立しません。
また、運転手がマスク着用の場合も同様で、オービスで撮影した画像から後日ドライバーを特定することが難しくなるため、その場で違反切符を切る対応が取られているとのこと。こちらについては、手間をかければ後日追跡調査も可能で、警察官の制止をその場で振り切ったドライバーを特定し、後日逮捕した事例もあるそうです。
可搬式オービスの都道府県ごとの台数
可搬式オービスによる取り締まり件数は都道府県ごとに所有台数が異なることから、多数所有する都道府県警ほど多いようと考えられます。警察庁の文書によると、もっとも多い千葉県警が可搬式オービスを10台導入する一方、19県警は1台のみです。
さらに、新潟県警にいたっては2021年度末時点での可搬式オービス導入台数はゼロ。こうしたことから、可搬式オービスによるスピード違反の取り締まりが一番多いのは千葉県警で、逆に少ないのは新潟県警ということになりそうですが、実はそうではありません。
別の警察庁の文書には、2021年の各都道府県警の可搬式オービスによる「撮影枚数」がまとめられています。撮影枚数と取り締まり件数は完全に一致しない可能性もあるものの、取り締まり件数の目安にはなるでしょう。
可搬式オービスの件数が多い千葉県警
この文書によると、可搬式オービスによる撮影枚数が一番多い都道府県警は千葉県警の5316枚。10台という可搬式オービスの所有台数を考えれば順当といえそうです。しかし、地元新聞の千葉日報の報道によると事情は異なり、2021年末時点で千葉県警は可搬式オービスを3台しか所有していなかったのです。
千葉県警が可搬式オービスを3台から10台に増やすことを決めたのは、2021年9月のこと。この可搬式オービスの増量は、同年6月に飲酒運転のトラックが下校中の小学生の列に突っ込み5人が死傷した事故を受けて策定された緊急対策「千葉県警察交通安全緊急アクションプラン」に盛り込まれたものです。
2021年9月に増強を決めて2022年3月末までに可搬式オービスを7台増強したものの、2021年12月末には間に合わなかったということ。可搬式オービス3台で5316枚を撮影した千葉県警は、台数以上に可搬式オービスによる取り締まりに力を入れているといえるでしょう。
ラジオライフ編集部
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