ワンセグ付きスマホが市場から消えた衝撃の理由
数年前まで、電車の車内でアンテナを伸ばし、ワンセグ付きスマホでテレビを視聴する人をちらほら見かけたはず。ところが、いまや電車内でワンセグ付きスマホでテレビ視聴する人はほとんどいません。これは、スマホがワンセグ機能を搭載しなくなったためで、そこにはNHK受信契約についてのある裁判が大きく影響しているのでした。ワンセグ付きスマホが市場から消えた理由を見ていきましょう。
ワンセグ付きスマホのNHK受信契約
ワンセグは、地上波テレビがデジタル化(地デジ化)する際に新たに設けられた仕組みで、地デジ各局が放送するチャンネルの一部分を使い、スマホやカーナビ向けに送信するものです。ワンセグという名前は、地デジチャンネルを13の「セグメント」に分割した際のひとつを利用することからくる略称です。
2006年の地デジ放送開始後は、携帯電話のワンセグ機能は各社とも必須とも呼べるものでした。スマホ時代に入っても、ワンセグ機能は多くのモデルに搭載されてきましたが、ここ2年ほどでワンセグ付きスマホが激減。いまでは、ワンセグ付きスマホはシニア向けなどごく一部に限られてしまいます。
ワンセグ付きスマホが激減した理由としては「テレビの仕様が各国バラバラであるためグローバルモデルでは対応しづらい」「本体外側にアンテナが必要で画面の大型化に不利」といった理由も考えられます。しかし、それ以上にワンセグ付きスマホが大きな影響を受けたのが、ワンセグ機器にもNHK受信契約が必要と裁判で確定してしまったことです。
実は、この確定した裁判はNHK側から提訴したものではありません。埼玉県在住の人が、ワンセグ機能付き携帯電話を所有した状態で、NHKを相手に「NHK受信契約は必要ない」と訴えたのです。このような「○○をする必要がない」という提訴は、民事裁判ではよく使われる手法でもあります。
ワンセグ付きスマホが削られた時期
1審にあたるさいたま地裁が出した2016年8月の判決では、埼玉県在住の人の主張を認め、ワンセグ機能付き携帯電話の所有は放送受信設備の「設置」にはあたらないとして、NHK受信契約は不要と判断しました。NHK側は、当然ながらこの判決を不服として東京高裁へ控訴します。
そして、2018年6月に出された東京高裁の判決では一転してNHK側の主張を認め、NHK受信契約が必要という内容になってしまったのです。埼玉県在住の人は最高裁へ上告しましたが、2019年3月に最高裁は上告を退ける決定を出し、NHK受信契約が必要という高裁判決が確定しました。
もともとワンセグ機能を搭載しなかったiPhoneを除くと、スマホメーカーがワンセグ付きスマホを削り始めたのは2018年秋モデルから。この時期は、ワンセグ機器を巡る東京高裁や最高裁の判断が出た時期と重なるため、東京高裁判決がNHK受信契約が必要と認めたこととワンセグ付きスマホの関係は高いといえるでしょう。
ちなみに、自宅のテレビについてNHK受信契約を結んでいる場合、ワンセグ付きスマホを所有していたとしても追加のNHK受信契約は必要ありません。これは、ワンセグ付きスマホは自宅に設置した扱いとなり、同じ家で何台もテレビを所有するのと同様にNHK受信契約は1契約で済むためです。
ラジオライフ編集部
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