ウクライナ侵攻の影響で海外短波放送が送信縮小
自国の情報を発信するBCLの世界では、相手国の全土に届くラジオ放送を行うためにより遠くまで飛ぶ電波に乗せなければなりません。そこで選ばれた電波が短波帯です。そんな海外短波放送にも、ウクライナ戦争の影響が及んでいます。世界的な電力不足から、送信を縮小する海外短波放送が続出しているのです。
ウクライナ侵攻で短波放送を強化した
2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、日本を含め、ウクライナ向けとロシア向けの短波放送を強化・復活した国が増え、海外短波放送が脚光を浴びるようになりました。
しかし、ロシアからのエネルギー供給停止による世界的な電力不足が始まると、各国では電力料金が値上がり。電力消費が大きい短波・中波・長波のAM放送は窮地に陥っています。
アメリカ・カリフォルニア州の短波局「KVOH」は、短波放送の縮小に踏み切り、2022年9月17日以降は、土・日・月曜日の9~14時のみの放送になってしまいました(9975kHz/100kW、英語。日曜日の9時~9時30分はスペイン語)。その他の時間はインターネット放送になっています。
大出力送信を止めてしまう短波放送局
ヨーロッパのQRP(小電力)局の中には、時々オーストリアMoosbrunn送信所などの大出力短波送信機を借用して、リスナーにサービスする放送局がありました。しかし、送信機の借用料が値上げされたため、他の安い送信所に変更したり、大出力送信を止めてしまう放送局も出てきています。
ドイツのShortwaveServiceは、他国の国際放送局の中継を行っていましたが、電力料金を反映するかたちで送信料を値上げしたところ、B22シーズンに契約したのはスイス「SRF」、スロバキア「Radio Slovakia International」、スペイン「Radio MiAmigo」の3ユーザーのみになってしまいました。
ウクライナ・ロシア向けに放送している「Trans World Radio(TWR)」は欧米の送信所を避けて、グアムにある自前の送信所「KTWR」から250kWで放送しています。(文/赤林隆仁)
ラジオライフ編集部
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