デジタル簡易無線移行の裏で生き残るアナログ機
電波を管理する総務省の方針により、ここ10年ほどで周波数再編成の「アクションプラン」に沿って、電波の有効利用を名目に主要な無線のデジタル化が推進されてきました。その一区切りとなるのが2022年11月30日。この日は、旧スプリアス規格の無線機とアナログ簡易無線機の使用期限だったからです。

デジタル簡易無線へ移行が奨励された
旧スプリアス機の中には、初期のデジタル無線機も含まれるのですが、規制の対象となるのは大半が古いアナログ無線機。業務無線の世界からアナログ無線機を締め出すことで、デジタル化を推進します。
同時に、無線局数が多い460MHz帯アナログ簡易無線と、348MHz帯小エリア簡易無線の使用を禁止(154MHz帯簡易無線は規制対象外)。その前段階として、2019年9月1日以降はアナログ機による簡易無線の新規開局は受け付けず、デジタル簡易無線の351MHz帯登録局や467MHz帯免許局への移行が奨励されたのです。
そのため、大企業を中心に簡易無線のデジタル化が一気に進みました。このままデジタル化が完了するのかと思いきや、新型コロナウイルス感染症の蔓延がおきたのです。
デジタル簡易無線への移行を延長した
新型コロナの蔓延により、社会構造の変化と経済状況が悪化。収益が落ち込んだ企業にとって、“機能的には使える無線機”をデジタル簡易無線に買い替える愚行は、納得しがたいものがあります。
そのデジタル簡易無線の状況を鑑みて、2021年8月3日に旧スプリアス機の使用期限を「当分の間」に変更したのです。翌月の9月1日には、アナログ簡易無線の使用期限を2年間延長することが発表され、2024年11月30日まで使えることになりました。
これら一連の延長策によって、廃止されるはずだったアナログ簡易無線の受信が、この後2年間も継続されるということ。残り少なくなったレジャー施設のアナログ簡易無線を聞くラストチャンスなのです。(文/さとうひとし)

ラジオライフ編集部

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