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消防無線のデジタル化で逆にアナログ波が普及?

統制の取れたキビキビとした交信と緊迫感ある内容で、人気を博した消防&救急無線。2016年5月31日にアナログ波の使用期限を迎え、もうすぐ6年が経とうとしています。とはいえ、デジタル化したのは、主に消防本部と消防車&救急車との通話で用いられた150MHz帯の「市町村波」「救急波」や、大規模災害などで応援時に使用された「県内共通波波」「全国共通波」です。


消防無線のデジタル化で逆にアナログ波が普及?


消防無線の代表格となるのが署活系

270MHz帯消防無線のデジタル波において、市町村波&救急波は「活動波」、県内共通波は「主運用波」、全国共通波は「統制波」に名称変更されました。

その一方、アナログ波のままの消防無線が存在。消防無線の“火”は、まだまだ完全に鎮火していません。そんなアナログ消防無線の代表格となるのが「署活系」です。

署活系は、災害現場に出動した隊員の間で使われるもので、466MHz帯に17波の割当てが存在します。具体的には466.3500~466.5500MHz(12.5kHzステップ)です。

署活系は「署外活動系」とも呼ばれ、その名の通り消防署外で活動する際に使用される無線です。消防本部によって多少の差はあるものの、1つの消防本部に対し複数波が割当てられます。1つの消防署や消防本部管内の地域ごとに1波ずつ割当てるところもあれば、災害現場ごとに周波数を使い分けるケースもあるのです。


消防無線のデジタル移行に大きな問題

以前は、政令指定都市など人口30万人以上の消防本部にしか署活系は割当てられませんでしたが、方針転換を迎えます。きっかけは、150MHz帯消防無線のデジタル化。総務省は、署活系の配備要件を緩和し、小規模な消防本部でも署活系を割当て可能にしたのです。

署活系が無い消防本部では、隊員間の連絡には市町村波が使われていました。ところが、消防無線が150MHz帯アナログ波から270MHz帯デジタル波に移行するにあたり、大きな問題に直面したのです。

まずは、消防無線のデジタル無線機が高価な点。開発時点での最新技術を搭載したデジタル無線機は、それまでのアナログ無線機に比べると費用がかさみます。消防本部を管轄する自治体では、アナログ波の使用期限が迫る中、緊縮財政で予算の捻出に苦労したところが多かったようです。

次に、消防無線のデジタル無線機のサイズ。デジタル機は、アナログ機に比べて大きくて重いのです。消防隊員の装備は、ヘルメットや防火服、酸素ボンベなど総重量20kg以上。無線機が大型化・重量化してしまうと、活動に支障が出かねません。

そこで、無線機が少しでも小型軽量になるアナログ無線機が要望されたのです。現場からの切実な声を受け、総務省は署活系を全国の消防本部に割当てられるようしました。そのため、消防本部の規模に関係なく、各地で署活系の導入が進んでいます。(文/おだQ司令)

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ラジオライフ編集部

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