YouTubeでワイプ加工された動画を見かける理由
YouTubeが著作権を守るために開発した監視システムが「Content ID」。開発に100億円以上かかったといわれているシステムです。Content IDによって、違法アップロードはかなり減りました。とはいえ、今もなお、違法動画をアップして広告収入を稼ぐ悪い輩がいるのも事実です。彼らは監視システムをどうすり抜けているのでしょう。
別窓でテレビ番組を流すYouTube動画
まずはYouTubeの監視システム「Content ID」の大まかな仕組みを見ていきましょう。Content IDの利用資格を持っている著作権者は、自分が権利者となっている音声や動画のファイルをYouTubeにアップロード。Content IDのデータベースに保存されます。
そして、YouTubeにアップロードされる動画や音声はすべてスキャンされ、Content IDのデータべース内のファイルと照合。同一と思われる動画や音声が発見された場合、権利者側に通知が行くという仕組みです。権利者はブロックするなど、その動画への対応を選択できます。
そんなYouTubeでここ数年で急増しているのが、ワイプ加工を使った動画です。動画内の一部に別窓を設置して、その中でテレビ番組を流す動画を見たことがあるはず。ワイプ加工することで、Content IDのオリジナル映像とは異なるものと認識され、YouTubeからの監視を一時的に回避できるようです。
ワイプ加工は動画編集ソフトを使えば容易に作成が可能。こうした動画で再生回数を瞬間的に増やして広告報酬を稼ぐ輩が多数存在するわけです。「誰でも簡単にYouTubeで稼ぐ!」とうたっている情報商材でも、このワイプ手法を教えている商品が多数あります。
YouTubeにテレビ番組の音声だけ動画
もちろん、ワイプ加工したからといって、著作権を回避したり移譲されることはありません。著作権法に抵触しているので、権利者がYouTubeに削除申請すれば、ワイプ加工された動画はすぐに削除対象です。
また、映像と音声をあえてズラしたり、他の音声(雑音)を上から入れたりするなど、音声を加工してContent IDをすり抜ける方法も存在します。最近では、番組の一部分の音声をミュートしている動画も増えています。
例えば、30分番組であれば、最初の1分と真ん中の1分を無音声化するなどの手法。また、テレビ番組の音声のみを抽出し、「ラジオ版」「作業用」としてアップしている動画もあったりします。
スマホやデジタルカメラを使ってテレビ画面を直接撮影した動画も、YouTubeではよく見られます。あえてテレビフレーム自体を映り込ませることで、ContentIDがオリジナル映像と異なると誤認識するケースがあるようです。
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ラジオライフ編集部
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