暗視スコープが暗闇で目標物を映し出す仕組み
野鳥観察やサバゲーなど、用途に合わせて進化を遂げた、個性豊かな暗視スコープが続々登場しています。暗視スコープ(ナイトビジョン)とはその名の通り、暗い場所を見るために使用するツールです。暗視スコープが暗闇を映し出す仕組みと、暗視スコープの世代ごとの特徴について、詳しく見ていきましょう。
暗視スコープは近赤外線に感度がある
デジタルカメラの感度を上げて撮影することで暗視スコープに近い使い方も可能ですが、デジタルカメラは画質を優先しているのに対して、暗視スコープは画質よりも暗い場所を視認することに注力しています。
さらに、暗視スコープは一般的なデジタルカメラやスマホのカメラ機能ではほとんどカットされている近赤外線にも感度があるため、近赤外線ライトを使うことで全く光が無い場所でも可視光線で照らさずに、周囲の状況などを確認できるのです。
暗視スコープは「光電子増倍管式」と「デジタル式」の2つに分けられます。真空管タイプの光検出器である光電子増倍管を使用した暗視スコープは、入ってきた光を真空管内で光電子に変え、増倍させていくことで微弱な光を電流として取り出し、映像を生成します。暗視スコープ初期から見られるタイプです。
暗視スコープには世代ごとの特徴あり
現在主流となっているのが、デジタルカメラなどに多く用いられるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサーを使用した暗視スコープ。仕組みが簡単なため、安価で安定した運用が可能となるのが特徴です。
暗視スコープには世代ごとに特徴があります。第1世代は光増幅率1,000倍ほど。ベトナム戦争から実戦投入が始まったといわれるタイプです。月明かり程度の明かりがあれば、100m程度の範囲内を視認できる性能です。
第2世代は光増幅率20,000倍ほど。MCP型光電子増倍管を使用し、星の光で1,500mまで視認可能となります。通常、一般に入手できるのは、この世代の性能のものです。
第3世代は光増幅率30,000~5,000倍ほど。第2世代よりも感度やノイズ低減など性能を向上させたもので、自衛隊の個人用暗視装置では主流の世代。個人での購入は難しいでしょう。(文/星智徳)
ラジオライフ編集部
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