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警察無線の新システム「IPR」導入を急いだ理由

パトカーに搭載される警察無線機は、全国的に新方式の「IPRシステム」への移行が進み、全都道府県警がIPRシステムに置き換わりました。とくに、2018~2020年度に急ピッチで全国的に置き換え作業が進められましたが、警察が急いで無線の新システムを導入した裏には、そのままでは無線自体が使えなくなる恐れがあったためなのです。


警察無線の新システム「IPR」導入を急いだ理由

警察無線が2020年度にIPRシステム移行

警察官が捜査連絡に使う警察無線は、各種業務無線のなかでもっとも早くデジタル化が行われました。警察無線のデジタル化が進んだ最大の理由は傍受の防止で、警察無線を傍受しながら犯人側が警察側の動きを把握し、結局犯人確保に至らなかった1980年代の「グリコ・森永事件」が大きく影響したとも言われています。

警察無線のデジタル化が真っ先に進められたのは、各都道府県警内全体で広く使われる「車載通信系」と呼ばれるネットワークでした。しかし、当初導入されたデジタル車載通信系のシステムは1990年代に過激派により解読・傍受されていたことが判明。2003年からはセキュリティがより強化された「APRシステム」へと移行します。

APRシステムについては、これまでのところ通信が外部により解読されてしまった事例は公表されていません。しかし、警察庁は新方式のIPRシステムの導入を決定。2018年から各都道府県警への配備がはじまり、2020年度には全国すべての都道府県警がIPRシステムへ移行しました。

IPRシステムの導入にあたり、警察庁はその理由として自動車のナンバープレート情報紹介に使う「PATシステム」や、都道府県警をまたぐ連絡に活用される警察専用の携帯電話である「WIDEシステム」をIPRシステムに統合し、より効果的に警察無線を活用できる点を強調しています。

警察無線機もスプリアス規制の対象

そのことは「IPR」という名称にも現れていて、IPRの「I」は統合を意味する「Integrated」の略です。しかし、実際には2022年までにIPRシステムを配備する大きな理由は別にありました。それは2022年12月に予定されていた無線機に関する「スプリアス規格」が強化されることで、APRシステムはそのままでは新規格に対応できなかったのです。

スプリアス規格とは、無線機が本来通信に使う周波数以外に漏れ出す「スプリアス電波」の強度を規制するもので、2022年12月1日からより強い規制となる新規格へ移行する予定でした。警察無線で使用する無線機も例外ではなく、2022年12月1日移行は新規格を満たさないと利用できなくなってしまうのです。

古い無線機を新規格へ対応させるには、無線機製造メーカーが新規格についての試験をクリアして認証する、あるいはユーザー自らが改修などを行い認証を受けるといった方法があります。例えば、ETC車載器の場合は製造メーカーが多くの旧モデルについて改めて新規格の認証を受け、引き続き利用が可能となっています。

しかし、デジタル警察無線のAPRシステムに関しては、導入から15年以上がたち老朽化が進んでいることもあり、日本国内でのスプリアスの新規格導入にあわせシステム一式を刷新することになったのです。

なお、IPRシステムの整備に関しては、2021年度以降も中継局の増加などの作業が続いており、最終的にIPRシステムの配備が完了するのは2023年度中となる予定です。

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ラジオライフ編集部

ラジオライフ編集部三才ブックス
モノ・コトのカラクリを解明する月刊誌『ラジオライフ』は、ディープな情報を追求するアキバ系電脳マガジンです。 ■編集部ブログはこちら→https://www.sansaibooks.co.jp/category/rl

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