オービスの撮影に関する制限は可搬式にも通用?
オービスについてよく知られている情報として「赤キップのスピード違反しか取り締まらない」というものがあります。赤キップのスピード違反は、一般道であれば30km/h以上、高速道路では40km/h以上の制限速度オーバーを指しますが、可搬式オービスに関してはこの原則が変わり、赤キップより低い青キップの違反でも撮影が行われているのです。

オービスは悪質なスピード違反を撮影
オービスが赤キップの違反しか取り締まらない理由は、警察官が犯罪捜査でむやみに人物撮影をすると肖像権の侵害にあたるという判例があるためです。この判例は、1969年12月に最高裁大法廷で確定した学生運動を巡る「京都府学連事件」に関するものでした。
この判決では、警察官が本人の同意なしで撮影を行えるのは「現に犯罪が行なわれもしくは行なわれたのち間がないと認められる場合であつて、証拠保全の必要性および緊急性があり、その撮影が一般的に許容される限度をこえない相当な方法をもつて行なわれるとき」に限られるとされました。
オービスによる取り締まりにこの判例をあてはめた場合、スピード違反が悪質で撮影が「一般的に許容される限度をこえない」かどうかが問題となります。そのため、オービスの撮影はより悪質なスピード違反にあたる赤キップの違反に限り行うという運用がこれまでなされてきたのです。
可搬式オービスは青キップでも悪質
ところが、2016年度から本格的に導入が始まった可搬式オービスについては事情が変わり、30km/h未満のスピード違反にあたる青キップでも取り締まりが行われています。その理由のひとつとして、幹線道路に設置される固定式と異なり、可搬式オービスの取り締まりは制限速度がより低い生活道路でも行われることがあげられます。
同じ20km/h超過のスピード違反であっても、片側2車線で制限速度60km/hの幹線道路と小学生の通学路になる制限速度30km/hの道路では、大事故につながる可能性は後者の方が上です。そのため、生活道路での可搬式オービスによる取り締まりは、20km/hの違反でも「一般的に許容される限度をこえない」と考えることも可能です。
また、可搬式オービスによる取り締まりは、警察官立ち会いのもとに行われるケースがほとんど。そのため、警察官がスピード違反自体を現場で確認していることから、撮影行為が「証拠保全の必要性および緊急性」があるとして認められる可能性が高いともいえます。

ラジオライフ編集部

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