超音波式の視力回復装置を開けて中身をチェック
超音波式の視力回復装置なるものが売られています。医療用具承認番号を取り、新品で10万~15万円、中古の取り引きでも平均相場は数万円! この怪し過ぎるシロモノの実物を入手してみました。さっそく超音波式の視力回復装置を開けて、中身をチェックしてみましょう。
視力回復装置は特殊なネジで固定
取扱説明書には1日10~15分、片方のまぶたに金属部分を10分間当てるだけ。片側に当てれば、もう片方にも効果があるらしく、毎日交互に当てて使います。実際に、1週間続けてみましたが、効果のほどは不明。そこで、内部構造を探ってみます。
視力回復装置本体は、開けられることを拒むように特殊なネジで固定。エンジニアのトルクスドライバー「DTC-27」を使います。内部は、2枚の基板から構成。1枚にはワンチップのコントローラーがあり、もう1枚は超音波振動子をドライブする回路のようです。
1枚目の基板に乗っているワンチップのコントローラーはあまりなじみのないものですが、国内でいえばPICやAVRに相当する小型のワンチップマイコンであり、難しい制御を得意とするものではありません。
このコントローラーは電源のON/OFFとLEDのドライブ、そして、振動子への信号を作っているだけのように見えます。特に秘密はなさそうです。
視力回復装置はこの磁気誘導を利用
視力回復装置のもう1枚の基板は、振動子のドライブ回路のよう。PNPトランジスタで振動子をドライブするだけで、こちらもなんら秘密があるものでもありません。
振動子自体はどうでしょう。コイルが2つ並んでおり、連結して出力する仕組みのようです。1つでは出力が足らないため、2つつないでいるということでしょうか? まとまった出力は、そのままステンレスの受け皿に導いています。
一般的に超音波の振動子は、振動子の物理的な振動を外部へと伝えているのですが、この機械は超音波の出力を金属の棒を介してステンレスの先端と接続しています。
磁気を外部に出す方法としては磁気誘導という方法が多用されていますが、どうやら視力回復装置はこの磁気誘導を利用した一種のスピーカーであるともいえるでしょう。ここにも秘密はなさそうです。
視力回復装置は振動を人体に与える
気になったのは、取扱説明書にある「超音波6kHz~12kHzを使用」という説明。超音波とは可聴音域である20kHzを超えた部分を差します。
この視力回復装置でいう「6kHz~12kHz」は思いっきり可聴音域のど真ん中。普通のスピーカーを接続すれば、ピーという大きな音が出てくるはずですが、それをわざわざ金属を介して外部へと接続しているのです。
まぶたに触れる金属部分を触ってみると音調が変化するので、この機械の場合は、6~12kHzの振動を音(音波)として使うのではなく、振動そのものとして外部へ出力する装置(磁気誘導によりステンレスが振動する)であるといえるでしょう。
音波という言葉は適当ではありません。高い周波数の振動を人体に与えると、そこの部分が刺激され、大半が熱へと変化するので、この機械は眼球を振動をもって暖める装置であるといえなくもありません。それで目が良くなるのであれば、多くの人が既に利用しているはずなのですが…。(文/細田時弘)
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ラジオライフ編集部
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