NHK受信料値下げの裏で経営計画が修正された部分
NHK経営委員会は、NHKが提出していた「NHK経営計画(2021~2023年度)」の修正案について、2023年1月10日に正式に了承。これにより、NHKは2024年3月まであらたな経営計画にもとづき運営されます。この修正案で注目されたのがNHK受信料の値下げとBS放送の1波廃止です。じつは、それ以外にも修正された項目があるのでした。

NHK経営計画で地方の中継局に項目追加
今回のNHK経営計画の修正について大きく注目を集めた点は2つあります。1つは、BS放送のうちHD放送を1波廃止することに関連するものです。修正前のスケジュールでは「2023年度中」だったところを、新経営計画では「2024年3月末」とスケジュールがより明確になりました。
また、NHK受信料の値下げも大きなポイントの1つで、値下げの実施時期を2023年10月以降とはっきりさせたほか、値下げ後の受信料も地上契約が月額1100円、衛星契約が1950円と明らかにされました。しかし、これら大きなポイント以外にも新経営計画には細かい変更があります。その1つが地方の中継局についてです。
中継局関連では「地域インフラへの投資を強化し、放送通信融合の時代に、世代や場所にかかわらず『放送の価値』を届け続けます」という項目が追加されています。これは総務省の方針にもとづいており、NHKと民放が協力して地方中継局を維持し続けることを明記したものです。
NHK経営計画でFM補完局の建設が進む
これに加え、地方への投資について記載した部分に「災害対応のFM補完置局を含む」という文章が追加されています。実は、AMラジオ局が開設するFM局「FM補完局」には、都市部を中心にしたAMラジオの難視聴対策以外に、AMラジオの送信所が災害で使用できなくなった際のバックアップという目的もあるのです。
例えば、北海道のNHK帯広放送局が放送するNHKラジオ第一を送信するNHK広尾ラジオ中継局は、広尾町の広尾港からほど近い場所に立地しているため、津波による浸水リスクが想定されます。そのため、NHKは同じ広尾町でも標高が高い場所に立地するテレビ中継局にNHKラジオ第一のFM補完局を併設しています。
今回の経営計画の変更で、広尾中継局のようなNHKラジオ第一のFM補完局が今後、全国各地で建設が進むということ。ただし、NHK経営計画は地方のAMラジオ中継局の災害対応についてのみ言及しているため、東京・大阪をはじめとした出力1KWを超える拠点局でFM補完を実施するかどうかは未知数です。

ラジオライフ編集部

最新記事 by ラジオライフ編集部 (全て見る)
- NHK衛星契約の断り方でBSアンテナが見える場合 - 2023年3月28日
- TVerが大リニューアルして進化したポイントとは - 2023年3月28日
- DVDFab12の使い方で違法行為をしないための設定 - 2023年3月27日
- 警視庁の組織犯罪対策部に新設された部署とは? - 2023年3月27日
- 生放送の舞台裏が聞こえる「番組中継波」の魅力 - 2023年3月27日
この記事にコメントする
この記事をシェアする
あわせて読みたい記事

NHK衛星契約の断り方でBSアンテナが見える場合

NHK受信料未払いはテレビのある世帯の2割以上

NHK受信料不要チューナーレステレビ最安値は?

NHK受信料滞納が3年半でも延滞利息ゼロのカラクリ
オススメ記事

悪質な盗撮犯罪は年々増加傾向にあります。警察庁によると、2021年の盗撮行為による検挙件数は5019件で過去最多を更新。盗撮犯罪は1930件だった2011年から10年間で2倍以上に増えたことに[…続きを読む]

テレビ番組の盗聴特集などを見て、自宅に盗聴器が仕掛けられていないか気になった人は多いでしょう。盗聴器の見つけ方は、そんなに難しいものではありません。そこで、盗聴器の見つけ方をいくつか紹介しまし[…続きを読む]

圧倒的ユーザー数を誇るLINEは当然、秘密の連絡にも使われます。LINEの会話は探偵が重点調査対象とするものの1つです。そこで、LINEの会話を探偵が盗聴する手口を見ていくとともに、それを防ぐ[…続きを読む]

盗聴器といえば、自宅や会社など目的の場所に直接「盗聴器」を仕掛ける電波式盗聴器が主流でした。しかし、スマホ、タブレットPCなどのモバイル機器が普及した現在、それらの端末を利用した「盗聴器アプリ[…続きを読む]

おもちゃの缶詰は、森永製菓「チョコボール」の当たりである“銀のエンゼル”を5枚集めるともらえる景品。このおもちゃの缶詰をもらうために、チョコボール銀のエンゼルの当たり確率と見分け方を紹介しまし[…続きを読む]