1200MHz帯アマチュアバンドの存亡に係わる問題
運用や電波特性の問題を抱えているアマチュア無線の1200MHz帯バンド。このバンドをカバーするアマチュア無線機「DJ-G7」が生産を終了しましたが、これは1200MHz帯アマチュアバンドの存亡にも係わる大問題なのです。DJ-G7生産終了の裏側の、1200MHz帯アマチュアバンドの今そこにある危機を見ていきましょう。
1200MHz帯は工夫すれば遠距離受信
1200MHz帯アマチュアバンドは波長が約23cmと短く、電波の直進性が強いのが特徴。そのためハンディ機(FMモード/出力1W)に付属のホイップアンテナを使った場合の電波の到達範囲は、「市街地では144/430MHz帯の6~7割」という印象です。
1200MHz帯では「メリット5」で受信できている局が、アンテナの位置をわずか数cmほど動かしただけで聞こえなくなる(逆のこともある)といったシビアな部分に、運用の難しさを感じます。
反面、1200MHz帯は波長が短い分、高利得のビームアンテナが使えるので、工夫すれば遠距離交信も可能。関東から沖縄(距離1,500km超)と交信した局や、JARLの「JCC-800アワード」(日本の異なる800市と交信すると申請できる賞状)の達成者も、1200MHz帯で7局存在します。
1200MHz帯はケーブルでかなり損失
しかし、高利得のビームアンテナは、指向性の“切れ”が鋭過ぎるので相手局との方向合わせが大変。とにかく電波の飛びがシビアなのが1200MHz帯なのです。
1200MHz帯では周波数が高いことから、無線機とアンテナを結ぶ同軸ケーブルのロス(損失)が無視できません。例えば、アマチュア無線界で定番の5D-2Vケーブルを10m使うと、無線機からは10Wの電力が出ていても、アンテナまで届くのはわずか4.4Wです。
当然、アンテナでキャッチした信号も同軸ケーブル内でかなり損失します(3.5dBの減衰)。そのため、1200MHz帯では「できるだけ太い(低損失)ケーブルを最短距離で使う」のが基本です。
かつては、1215~1300MHzという85MHzもの幅があった1200MHz帯アマチュアバンド。現在は1260~1300MHzの40MHz幅に減りました。1200MHz帯がこれ以上削減されないよう、アクティブな運用が求められます。(文/大伴俊夫)
ラジオライフ編集部
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