1200MHz帯アマチュアバンドの将来が見通せない
1200MHz帯のアマチュア無線は、運用や電波特性に問題を抱えているバンド。1200MHz帯は無線機の周波数変動も無視できません。最近の1200MHz帯のリグは、「周波数安定度:±0.5ppm以内」というスペックが多いのですが、これは「1296MHzで±648Hz以内の変動あり」ということを意味します。

1200MHz帯はアマチュア無線が二次業務
1200MHz帯の周波数変動はFMモードではまだしも、SSBやCW、FT8といったモードではちょっと厳しく、FT8モードではフラフラと安定しない信号に呼ばれ、交信が成立しないこともあります。
ちなみに、1200MHz帯FMハンディ機の周波数安定度は、「±2ppm以内」や「±4ppm以内」といったものが多く、単純計算で±3~5kHz程度の変動が見込まれます。
FM機なのに1200MHz帯のアマチュア無線機に、RITやVXO、AFCなどの機能が付いていたのは、交信相手局との“Fズレ”を軽減するための工夫でした。
1200MHz帯は、アマチュア無線が「二次業務」になっています。そのため、テレビ局のFPU中継システムや準天頂衛星システム「みちびき」の運用といった、一次業務の無線局に混信や妨害を与えてはいけないというのが大前提。逆に、混信や妨害があっても甘んじて受け入れなければならないという大きな制約があるのです。
1200MHz帯の召し上げにつながる議案
1200MHz帯のアマチュア無線は常置場所では最大10W、移動運用では1W以下という送信出力の制限、レピータ局の出力制限(1W)と制限ばかり。しかも、レピータ局の新規開設が事実上困難で既存局も減少傾向です。
そして、テレビ局が1200MHz帯FPUを中継用に使う場合は、該当地域のレピータ局が停波する…など、1200MHz帯には「不便」「面倒」と思うことがいろいろあります。
今後、1200MHz帯の“召し上げ”につながるかもしれない議案が、2022年末から始まる国際会議「WRC-23」で提案される見込みなど、このバンドの将来が見通せない状態です。(文/大伴俊夫)

ラジオライフ編集部

最新記事 by ラジオライフ編集部 (全て見る)
- dポイント投資なら株価下落でも利益が出せる? - 2023年5月30日
- 民放キー局でYouTube公式の充実度No.1はテレ東 - 2023年5月30日
- 火災報知器型カメラは誰にも気づかれず俯瞰撮影 - 2023年5月29日
- DJ-X100のスキャン&サーチ速度は最速100chで可変 - 2023年5月29日
- セブンイレブン発泡酒はサントリー製造で2割安 - 2023年5月29日
この記事にコメントする
この記事をシェアする
あわせて読みたい記事

1200MHz帯アマチュアバンドの存亡に係わる問題

ハンディ運用に便利な伸縮式アンテナを実テスト

エアーバンドが聞けるラジオでD-808とR-108を比較

バイク用アマチュア無線機セットのおトク度は?
オススメ記事

悪質な盗撮犯罪は年々増加傾向にあります。警察庁によると、2021年の盗撮行為による検挙件数は5019件で過去最多を更新。盗撮犯罪は1930件だった2011年から10年間で2倍以上に増えたことに[…続きを読む]

テレビ番組の盗聴特集などを見て、自宅に盗聴器が仕掛けられていないか気になった人は多いでしょう。盗聴器の見つけ方は、そんなに難しいものではありません。そこで、盗聴器の見つけ方をいくつか紹介しまし[…続きを読む]

圧倒的ユーザー数を誇るLINEは当然、秘密の連絡にも使われます。LINEの会話は探偵が重点調査対象とするものの1つです。そこで、探偵がLINEの会話を盗み見する盗聴&盗撮テクニックを見ていくと[…続きを読む]

盗聴器といえば、自宅や会社など目的の場所に直接仕掛ける電波式盗聴器が主流でした。しかし、スマホ、タブレットPCなどのモバイル機器が普及した現在、それらの端末を利用した「盗聴器アプリ」が急増して[…続きを読む]

おもちゃの缶詰は、森永製菓「チョコボール」の当たりである“銀のエンゼル”を5枚集めるともらえる景品。このおもちゃの缶詰をもらうために、チョコボール銀のエンゼルの当たり確率と見分け方を紹介しまし[…続きを読む]