ディズニーランドの裏側が覗ける無線通話の中身
テーマパークで最も有名なのが、千葉県浦安市にある東京ディズニーランドと東京ディズニーシーです。2020年度は、新型コロナ感染対策での休園や入場者数制限があり、落ち込みましたが、平時の年間来園者数は3千万人にもなります。この数字、1日平均8万人ということですから、地方都市の人口に匹敵する人数です。

ディズニーランドの無線は通話統制
これだけの人間がパーク内に集まると安全確保は容易ではありません。スタッフ間の連絡を徹底するため、複数の無線を使って対応しています。
東京ディズニーランド(以下、ディズニーランド)と東京ディズニーシー(以下、ディズニーシー)では、無線通話を行う際はセキュリティ部である基地局のコールサイン「ディズニーベース」を介しての通話となります。
移動局同士での通話は、「ディズニーベース」が許可した有事以外はできない仕組みです。そのため通話統制が取れており、基地局は常に冷静沈着で、移動局に至るまでオペレートのレベルがとても高いことから聞き応えがあります。
ディズニーランドはアナログ波を使用
1983年のディズニーランド開業以来、アナログ波の各種業務無線が使われ続けています。現在の周波数はディズニーランドランドが「1波」と呼ばれる414.9000MHz(トーン=127.3Hz)、ディズニーシーが「3波」と呼ばれる373.6125MHz(トーン=156.7Hz)です。
「2波」と呼称されていた154.03MHz(トーン=179.9Hz)は、免許人のオリエンタルランドとして無線局免許は生きていますが、現在は運用されていません。
ディズニーシーの新エリア開業前に、セキュリティ棟に設置されていたアンテナが一時的に移設され、この際に無線システムの整理が行われたのです。これにより、154.03MHzを使用していたディズニーランド内の清掃や飲食施設関連の局は、373.6125MHzへと移管されました。
気象や入園情報などの3波一斉送信もなくなり、現在は各種業務無線の373.6125MHzと414.9000MHzの2波で行われています。パーク内では、部署内の連絡用に460MHz帯アナログ簡易無線が活躍していましたが、ここへきて激減。デジタル化されて、351MHz帯登録局と467MHz帯免許局、さらにはIP無線に変波しています。
ディズニーランドで特定小電力無線
小規模イベントではデジタル簡易無線だけではなく、いわゆる“デジ小”、140MHz帯のデジタル小電力コミュニティ無線を使用する場合もあります。レジャー施設でのデジ小の使用は極めて珍しい事例です。
また、パーク内に予告なくキャラクターが出現するフリーグリーティングの付き添いスタッフは、デジタル簡易無線だけではなく、特定小電力無線を使うことがあるので、こちらは受信可能です。
ディズニーランドの主要アトラクション内の連絡には、構内PHSの「ワープ」を使用。ところが最近、iPhoneの配備があったようで、スタッフの中にはPHSとiPhoneの両端末を携帯している人もいます。
パーク内はデジタル化が進んでいるものの、運営の主用波はアナログ波なので、ディズニーランドはまだまだ受信を楽しめる夢のような無線なのです。(文/サワガニ)

ラジオライフ編集部

最新記事 by ラジオライフ編集部 (全て見る)
- NHK新会長の年収と前会長の退職金…驚きの金額 - 2023年2月7日
- サンコー売れ筋の1人用こたつ「こたむき」とは - 2023年2月7日
- 赤外線対応ビデオカメラでプロっぽく夜間撮影 - 2023年2月6日
- クラウドストレージの楽曲をオフライン再生する - 2023年2月6日
- 列車無線がデジタル化された路線の貴重な情報源 - 2023年2月6日