DS違法ソフト/カセットほか任天堂と海賊版の変遷とは？

2020年1月、京都府警がNintendoSwitch（以下、スイッチ）などのゲームで使えるフィギュア/カード「amiibo」の海賊版をオークションで販売したとして、会社員の男を書類送検しました。男は容疑を認めていますが、amiiboの海賊版を巡っては2019年6月にも転売で逮捕者が出ています。DS違法ソフト/カセットほか任天堂と海賊版の変遷「マジコン」について見ていきましょう。

違法ソフトROMの横行にマジコンの普及

世界中で高い人気を誇る任天堂のコンテンツは、同時に海賊版のターゲットにもなってきました。違法ROMの横行にマジコンの普及…任天堂ゲームの陰にはいつの時代もそれを弄ぶハックと海賊版の存在がありました。

任天堂と海賊版の戦いは、1981年にリリースされたアーケード版『ドンキーコング』に始まります。数多くのコピー基板やデッドコピーが出回り、ファミコン時代になると「ファミリーライター」や「ファミリーエース」といったファミコンソフトの違法コピー機が現れました。

海外では、1つのカートリッジに何本ものゲームを収録した違法ソフト「in1」が登場。また、ゲームのプログラムを改変した違法ハックROMも出回るようになります。

DS違法ソフト/カカセットにマジコン

スーファミ時代になると、フロッピーディスクにソフトを違法バックアップできる「スーパーマジックコンピューター（マジコン）」が発売され、1990年代後期にはネットの普及により違法ソフトROMサイトが開設。違法ソフトROMサイトは、任天堂のゲームはカセットで容量が小さく、やり取りが容易だったという背景もあったのでしょう。

海賊版違法ソフト/カセットが社会問題となったのがDS時代。海賊版違法ソフト/カセットがプレイできる「マジコン」が2000円前後でAmazonや家電量販店で売られるようになり、「DSのゲームがタダで遊べるらしい」と違法ソフト/カセットがキッズの間で大流行しました。

もちろん、任天堂もDS違法ソフト/カセット対策に躍起です。対策基板やファームウエアの更新はもちろん、訴訟など法的手段によるDS違法ソフト/カセットの対抗措置も積極的に講じています。

DS違法ソフト/カカセットのマジコン輸入禁止

2009年、DS違法ソフト/カセットがプレイできるマジコンの際には任天堂ほかゲーム会社54社がマジコン販売業者を不正競争防止法違反で提訴。裁判は7年で決着し、販売業者に対しDS違法ソフト/カセットがプレイできるマジコンなどの輸入販売の禁止と在庫の廃棄、1億円の損害賠償の支払いを命じました。

2011年12月には、不正競争防止法の改正に伴い、DS違法ソフト/カセットがプレイできるマジコンは輸入差止申立制度の対象製品となり、2012年11月には任天堂の申し立てにより、正式に輸入禁止品目となりました。

DS違法ソフト/カセットがプレイできるマジコンだけでなく、違法ROMサイトに対しても訴訟を起こしています。2018年には北米法人のNOA（ニンテンドーオブアメリカ）が、老舗の海賊版サイト「LoveROMS.com」及び「LoveRETRO.com」を提訴。サイトは閉鎖され、サイト側は約14億円の“和解金”を支払ったといわれています。

2019年に提訴した会員制サイト「RomUniverse」には、著作権侵害「1件につき1万5000ドル」の損害賠償を求めました。こうした動きを警戒するように、海賊版サイトでは任天堂ゲームだけを削除するという動きも出始めています。（文／pusai）