空港スタッフが使用する無線「TETRA方式」とは
中小空港ではアナログ波が使われている空港内連絡波ですが、大空港はどうでしょうか。交信数が激増して受信は楽しそうですが、そうはいきません。なぜなら、大空港の空港内連絡波は、「空港MCA」と呼ばれる400MHz帯デジタルMCA方式で、受信できないからです。この空港MCAに採用されたTETRA方式を見ていきましょう。
空港MCAがTETRA方式に変更された
アナログ波の専用波では、航空会社ごとに周波数が割当てられていましたが、空港MCAは無線システム内の周波数帯を、複数の航空会社や空港内の警備会社、さらには国土交通省航空局など、たくさんの使用者がグループ分けされ運用しています。
空港MCAを最初に導入したのは、1990年の新東京国際空港(現成田国際空港/千葉県)で、当時は800MHz帯のアナログ波でした。これに続いて、東京国際空港(東京都)、那覇空港(沖縄県)、関西国際空港(大阪府)に導入されたのです。
そして2004年には東京国際空港が、400MHz帯へ移行してデジタル化。2005年に開港の中部国際空港(愛知県)も加わり、他の3空港も順次移行し、2007年にデジタル化は完了。すべて聞こえなくなりました。
2017年6月、空港MCAは転機を迎えます。無線設備の更新に際して、地上基盤無線と呼ばれるTETRA(TErrestrial Trunked RAdio)方式に変更されたのです。
TETRA方式の空港MCAへ移行する可能性
TETRAは海外で多く採用されている無線システムで、警察や消防などの公共組織や行政機関で使われており、空港にも導入されています。各組織が同じシステムを採用しているので、災害時には他の組織と直接連絡が取れるなど、迅速な情報交換が可能です。
日本では「ARIB STD-T87」として規格化され、空港MCAとして採用されました。2017年に成田国際空港をはじめ、東京国際空港、中部国際空港、那覇空港、広島ヘリポート(広島県)に導入されています。関西国際空港は無線システムの更新時に、TETRA方式へ移行する可能性は高いでしょう。
そして現在、アナログ波を使用している中小空港の一部は、TETRA方式へ移行すると思われます。というのも、TETRA方式の特徴として、ネットワークを介して空港間通信ができるからです。出発空港から到着空港への伝達事項や、問い合わせが可能になり、業務の円滑化に大きく貢献します。
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ラジオライフ編集部
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