戦闘機のパイロットが使う秘密の航空無線とは?
航空祭で迫力の機動飛行を魅せる戦闘機。戦闘機のパイロットが使うUHF帯エアーバンドは、「ミリタリーエアーバンド」とも呼ばれています。その中には、GCIと呼ばれる秘密の航空無線があるのです。戦闘機のパイロットが使うGCIと呼ばれる周波数の楽しみ方を紹介します。

戦闘機のパイロットが使うGCIとは
戦闘機のパイロットが使う周波数の中には軍用機の離着陸を管制する飛行場管制波とは異なる、軍事行動の際に必要とされるGCI(地上要撃管制)という非公開の周波数があるのです。
GCIは軍用機の飛行を管制する無線ではなく、自衛隊のカンパニーラジオのような存在。早期警戒機から発せられた不明機の情報や地上警戒レーダーによる誘導、空中給油機や編隊内の僚機との機体間通信など、軍事行動に直結する作戦波です。
戦闘機のパイロットなどが使うGCIの周波数は、国防に関わるものなので非公開になっています。GCIの周波数を知っているマニアも、公開するようなことはしません。
戦闘機のパイロットが航空祭でも使用
GCIは1人で密かに楽しむもの。これはミリタリーエアーバンダーの最も重要な約束事です。
実はGCIの一部が航空祭で使われることがあります。それは「ボールチャンネル」と呼ばれる隊内連絡用の周波数。これは編隊飛行をする戦闘機のパイロットが機体間通信を行う際に使うものです。航空祭では、ホールディングエリアで編隊を組む際などに開局するといいます。
GCIを探すには、UHF帯エアーバンドの225~390MHzを100kHzステップで、ひたすらサーチし続けるしかありません。気が遠くなる作業ですが、見つけ難いということは、それだけGCIが重要な周波数であることの証明なのです。
展示飛行の航空無線の主軸はTWR
航空祭の基本は開催中の飛行場から離陸して、展示飛行を行い、着陸するという流れになります。これを管制席の流れで示すとGND(誘導路)→TWR(展示飛行)→GCA(着陸誘導)→TWR(滑走路)→GND(誘導路)です。
展示飛行にはもう1つのパターンがあって、リモートと呼ばれる方式です。例えば、三沢基地(青森県)の航空祭で、機動飛行をするF-15J。このF-15Jは、北海道の千歳基地から飛来。三沢基地上空で機動飛行を見せた後、三沢飛行場に着陸することなく、千歳基地へ帰投します。
このような場合、通常の航空管制に準じた管制席の移管が行われます。飛来時はAPP/RDR→機動飛行中はTWR→帰投時はDEP/RDRという流れです。
どちらにせよ、展示飛行の航空無線の主軸はTWRです。ミリタリーエアーバンドの受信に慣れていないのであれば、TWRの周波数に集中した方が安心して楽しめます。展示飛行の最中に周波数探しであたふたしてしまうと、展示飛行と航空無線のどちらも楽しめなくなるからです。
航空祭はUHF帯の航空無線を使う
TWRの前後には、他の管制席が絡んでくるので、管制の追っかけ受信をした方がいいのですが、航空祭の受信に慣れてきてからでも遅くはないでしょう。まずは「航空祭ではTWRを聞く」から始めて下さい。
自衛隊の飛行場には、TWRがVHF帯とUHF帯の両方にあり、どちらにも主用波を2波ほど設定している場合があります。さて、航空祭の航空無線ではどのTWRを受信すればいいのでしょうか。
軍用機はUHF帯エアーバンドの使用がメインなので、UHF帯のTWR周波数を押さえます。複数波あるので、いずれか1波が主用波として航空祭で使われます。とはいえ、VHF帯のTWRも使われるのが実状。その飛行場に割当てられたTWRの周波数はすべてメモリーしましょう。
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■「航空無線」おすすめ記事
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航空無線の周波数を切り替えながら航空機は離陸
航空祭は無線を受信することで楽しみ方が倍増
航空祭を楽しむならTWRを受信するのが基本
航空無線を聞くためのハンディ型ダイポール
航空祭の舞台裏がわかってしまう基地内連絡波

ラジオライフ編集部

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