警察の犯罪データが一元管理されるCIS-CATSとは
警察が新しい時代の犯罪に対応する動きとして、地域や地方を越えた犯罪情報の共有が始まったことが挙げられるでしょう。複雑化する犯罪に対処するため、全国の警察で犯罪データの一元管理が始まっています。実際、このシステムによって検挙につながった例もあるのです。

警察の緻密な犯罪情報をデータ共有
日本の警察組織は国家警察ではなく、地方警察制を採用しています。この制度は、国の意向によって捜査が左右されない、地元密着で緻密な捜査が可能になるなどが利点。しかし、一方で縄張り意識を生むという弊害も起こりがちです。そのため、地域によって情報が共有されにくいという状況も無きにしもあらずでした。
しかし、それらのデメリットを取り除き、よりスムーズな捜査が期待されるシステムが「CIS-CATS」(シスキャッツ)です。犯罪には、その手口などに共通点が見られることがあります。従って、警察の緻密な犯罪情報のデータを共有できれば、犯人の割り出しが容易になるケースもあるのです。
そのため、警察庁は犯罪統計などの捜査管理に関する情報の統合を行い、総合捜査情報システムを高度化。そうして構築されたのが情報分析支援システム「CIS-CATS」で、2009年までに数十億円をかけ、全国の警察組織で運用できるよう整備してきました。
警察の犯罪統計の不備を一気に解消
CIS-CATSの主な機能は、地理分析による犯罪発生状況の照会、個人・盗品・車両の照会、捜査写真やDNAの照会などです。全国で発生する事件の状況や数百万件にも及ぶ容疑者の手口をはじめ、ありとあらゆる情報がCIS-CATSにはインプットされ、管理・共有されています。
その特色は、一元化された照会機能です。従来なら過去の犯罪統計などは、各警察本部や所轄の持つコンピュータで個別に管理。担当者がそれぞれのコンピュータ端末で情報を集めていたわけですが、これでは膨大な手間と時間がかかります。しかしCIS-CATSなら、このような不備が一気に解消可能です。
実際、CIS-CATSによって検挙につながった例もあります。わずか1年の間に同じ手口の空き巣が30件も相次いだ事件では、CIS-CATSによって数人の怪しい人物が浮上。1か月で犯人を逮捕しています。警察捜査にもIT化が進み、刑事の勘や経験も共有されるハイテク捜査が現実のものとなっているのです。
■「警察」おすすめ記事
駐車禁止を警察が取り締まれない「植え込み」
駐禁をとられても警察に出頭する必要はない
駐車禁止違反は苦手!?注意だけの警察官が増加中
警察用語では拳銃はチャカではなく腰道具と呼ぶ
公安警察はデモや集会に私服で必ず張っている

ラジオライフ編集部

最新記事 by ラジオライフ編集部 (全て見る)
- 生放送の舞台裏が聞こえる「番組中継波」の魅力 - 2023年3月27日
- ブルーレイをDVD変換してディスクに書き込む方法 - 2023年3月26日
- NHK受信料未払いはテレビのある世帯の2割以上 - 2023年3月26日
- 無料のABEMAアプリ視聴は通信節約モードが便利 - 2023年3月26日
- JALカードツアープレミアムで100%マイルを獲得 - 2023年3月25日
この記事にコメントする
この記事をシェアする
あわせて読みたい記事

嫌がらせ被害を警察に相談して逆恨みされた事例

盗撮犯罪で10年で2倍以上に増えた手口とは何だ?

パトカーの車種がクラウンばかり採用される理由

警察用語で拳銃のことをなぜチャカと呼ぶのか?
オススメ記事

悪質な盗撮犯罪は年々増加傾向にあります。警察庁によると、2021年の盗撮行為による検挙件数は5019件で過去最多を更新。盗撮犯罪は1930件だった2011年から10年間で2倍以上に増えたことに[…続きを読む]

テレビ番組の盗聴特集などを見て、自宅に盗聴器が仕掛けられていないか気になった人は多いでしょう。盗聴器の見つけ方は、そんなに難しいものではありません。そこで、盗聴器の見つけ方をいくつか紹介しまし[…続きを読む]

圧倒的ユーザー数を誇るLINEは当然、秘密の連絡にも使われます。LINEの会話は探偵が重点調査対象とするものの1つです。そこで、LINEの会話を探偵が盗聴する手口を見ていくとともに、それを防ぐ[…続きを読む]

盗聴器といえば、自宅や会社など目的の場所に直接「盗聴器」を仕掛ける電波式盗聴器が主流でした。しかし、スマホ、タブレットPCなどのモバイル機器が普及した現在、それらの端末を利用した「盗聴器アプリ[…続きを読む]

おもちゃの缶詰は、森永製菓「チョコボール」の当たりである“銀のエンゼル”を5枚集めるともらえる景品。このおもちゃの缶詰をもらうために、チョコボール銀のエンゼルの当たり確率と見分け方を紹介しまし[…続きを読む]