東芝のBCLラジオ「トライエックス2000」とは?
現在の東芝のラジオはDSPラジオで「東芝エルイートレーディング」が中国で製造している製品です。しかし、以前の東芝のラジオは東京芝浦電気が製造する国内製造のアナログラジオ。特にBCLラジオブームの中、ソニー「スカイセンサー」、松下「クーガ」に次ぐ、第三のラジオメーカーとして東芝のラジオ「トライエックス」が人気を博していました。
東芝のラジオ最高峰は1976年発売
東芝のBCLラジオ「トライエックス」シリーズは、「サウンドナナハン」に変わる東芝の新たなブランドとして、数々のBCLラジオを世に送り出してきました。そんな東芝のラジオ最高峰モデルが1976年に発売された「トライエックス2000」の愛称で親しまれた「RP-2000F」です。
当時は、東芝の「RP-2000F」、ソニーの「ICF-5900」、松下電器産業の「RF-2200」との3台をBCLrラジオ御三家と呼んでいました。しかし、ICF-5900とRF-2200がダブルスーパーヘテロダイン方式だったのに対し、RP-2000Fはシングルスーパーヘテロダイン方式。東芝のラジオは10MHz以上でイメージ受信が強く出る傾向があり、少しばかり見劣りしたのも事実です。
これは東芝のラジオ・トライエックスシリーズの弱点ではありましたが、東芝の技術は進化しており、マーカー発振器は1MHzの水晶(クリスタル)方式を採用して、周波数安定度を大幅に向上。トライエックスシリーズは東芝のラジオ最高峰らしく仕上げられました。
東芝のラジオは大型ダイヤル採用
海外短波放送を聞くBCLラジオにとって重要なのは、精度の高い周波数チューニングです。アナログ式のBCLラジオには周波数を数字で表示する機能はなく、ダイヤルで追い込んで周波数を合わせるスタイル。そこで活用するのがスプレッドダイヤルによる周波数の直読です。
東芝のBCLラジオ・RP-2000Fには、直径70㎜の大型スプレッドダイヤルが採用され、精度の高い周波数直読が可能になりました。メインダイヤルとサブダイヤルを組み合わせて周波数を読み取るライバル機に対し、東芝のラジオはスプレッドダイヤルだけでMHzの位から受信周波数がひと目で分かるのが、大きなアドバンテージだったのです。
東芝のラジオには面白いギミックも仕込まれていました。回転式「デュアルアクションローテタブルアンテナ」です。上下に約360度自由に回転し、その内部から屈折機構を持つロッドアンテナが出てくるので、アンテナ調整の自由度が高いことも話題になったのです。
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