GCIの周波数は戦闘機が緊急発進した緊迫の交信
軍用機が使うミリタリーエアーバンドの中で、国防に関する通話が行われるため、周波数が公開されていないGCI(ジーシーアイ)。パイロットの緊迫した交信を聞くためには、GCIの周波数は自分で探さなければなりません。航空自衛隊のGCIの周波数を効率良く探すノウハウを詳しく見ていきましょう。
GCIの周波数はスクランブル管制で非公開
スクランブルで緊急発進する戦闘機は、離陸するまでは公開周波数の管制波が使われますが、ひとたび飛行場の管制圏を離れると、非公開のGCIの周波数へと管制を移管します。GCIは「Ground Control Intercept」の略で、日本語で表記すると「地上要撃管制」となります。
GCIの周波数は神出鬼没ですが、戦闘機に搭載している無線機にチャンネルとしてセットしているため、簡単には変更されません。GCIの用途に応じた周波数が設定され、固定で使われます。
航空自衛隊の航空機が使うミリタリーエアーバンドは管制波を含め、225~400MHzです。この広大な帯域の中には7,000チャンネルもあるため、毎秒100チャンネルのスピードでサーチできる受信機でも1周するのに1分以上かかります。
これでは短い時間で行われるGCIの周波数の交信を聞き逃す可能性が大。1周にかかる時間を短くするにはサーチする範囲を減らしていくしかありません。それでは、GCIの周波数を探すにはどの周波数帯を削っていけばいいのでしょうか。
GCIの周波数で戦闘機がスクランブル
225~400MHzの周波数帯は、ミリタリーエアーバンドの専用波ではありません。この帯域の中には多種多様な業務に割当てられた業務無線の周波数帯が存在しています。自衛隊といえどもGCIの周波数で他の業務に混信を与えるような周波数は使いません。
そうなると250~270MHzの前後にあるデジタル消防&防災無線の周波数帯は除外され、350MHz付近の簡易無線や鉄道無線も同様です。380MHz帯にはコードレスホンがあり、390MHz帯には業務無線が多いことから、GCIの周波数で380MHz以上が使われることはほぼありません。
戦闘機がスクランブルで使うGCIの周波数として大ざっぱに絞り込めるのは、225~250/270~380MHzです。この帯域内をさらに細分化したサーチバンドを登録して、これらをまとめてサーチリンクでサーチすれば、全周波数をサーチする時間はグッと短くなります。
また、航空自衛隊は標準の25kHzステップではなく、100kHzステップで使用することが多いので、GCIの周波数を探すときは100kHzステップに設定すると、サーチ時間をさらに短縮することができるのです。
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