特殊部隊のSATやSITが装備する自動拳銃の違いとは?
国家機関の「特殊部隊」には、軍事系と治安系の2つがあります。軍事系は自衛隊で、治安系は警察の「SIT」と「SAT」、それに「銃器対策部隊」です。そんな警察の特殊部隊のSATとSITでは、制服警察官が所持する回転式とは違い、多くの弾丸を必要とする自動拳銃を装備しています。警察の特殊部隊SATとSITの拳銃の違いについて見ていきましょう。
特殊部隊SATとSITの装備には自動拳銃
警察の特殊部隊の1つである「SIT」の正式名称は「刑事部捜査一課特殊犯捜査班」で、各警察本部の刑事部に設けられた捜査一課の一部署です。SITの特殊部隊としての主な任務は誘拐事件などの捜査と人質救出になります。SITという特殊犯捜査班の呼び名は大阪府警が「MAAT」など、警察本部によって違う場合もあるのです。
SITと1文字違いの警察の特殊部隊「SAT」は、銃器を扱う部隊なので混同されやすいのですが、SATの正式な名称はまさに「特殊部隊」。SATは英語表記の「Special Assault Team」から「特殊急襲部隊」とも呼ばれます。特殊部隊のSATは警視庁、千葉県警、神奈川県警、愛知県警、大阪府警、福岡県警、沖縄県警で編成。特殊部隊のSATの所属は機動隊と同じ警備部です。
警察の特殊部隊であるSATの設立の契機となったのは、1977年の日本赤軍による「ダッカ日航機ハイジャック事件」。この時、警察にはSATのような特殊部隊などの有効な対抗手段がなく、犯人グループの要求をすべて受け入れるという事態を招きました。
危機感を抱いた日本政府は、テロ専門部隊の創設を決定。1980年代に特殊部隊のSATの前身である「SAP」(Special Armed Police)を誕生させています。特殊部隊の創設後は存在も名前も極秘とされ、1995年の「全日空機ハイジャック事件」で初めてその存在が公となり、翌年にはSAPからSATに再編成されました。
特殊部隊SATとSITの装備で拳銃の違い
同じ警察の特殊部隊のSATとSITは似ているように思われますが、決定的な違いがあります。SITの任務は人質救出と犯人逮捕ですが、SATはテロリストなどのプロの犯罪集団や犯罪組織を相手に立ち向かうことを任務としている警察の特殊部隊です。
特殊部隊のSATは警備部の実行部隊であるため捜査などは行わず、場合によっては説得や交渉を省いた犯人の射殺も可能。SITは犯人の身柄確保が優先ですが、SATは現場の危機的状況を、狙撃などで排除することを大前提とした警察の特殊部隊です。
そのためには、特殊部隊のSATは短機関銃や狙撃用ライフルといった高性能の銃器を装備し、防弾ヘルメットや防弾ベストなどの防具類も充実しています。2000年代後半からは刑事事件にも特殊部隊のSATが出動し、SITの支援を行うようになっています。
特殊部隊のSATやSITの他にも、警察には銃器を扱う特殊部隊があります。それは「銃器対策部隊」、略して銃対と呼ばれる部隊です。
特殊部隊SATやSITの自動拳銃に違い
そんな警察の特殊部隊のSATとSITは自動拳銃を装備しています。警視庁、神奈川県警、愛知県警の特殊部隊の各SATでの使用が確認されているのが「H&K P8」です。「USP」は1993年に開発された、ドイツ・ヘッケラー&コッホの基幹拳銃。多くのバリエーションがある中で、警察の特殊部隊SATが装備として採用している拳銃はドイツ連邦軍も制式配備している「P8」モデルです。
警視庁のSITや大阪府警のMAATなどで使用されているのが「Beretta M92」。イタリアのピエトロ・ベレッタ製で、SITが採用しているのは特殊部隊モデルの「92FS-Vertec」です。SITの装備として採用している拳銃はグリップ後部のふくらみがなく、握りやすいのが特徴。SITの装備の拳銃はレーザーサイトやフラッシュライトの装着も可能です。
警視庁のSITや埼玉県警、静岡県警の銃器対策部隊が使用しているほか、制服警察官にも配備されている自動拳銃が「S&W M39」。SITが装備で採用している拳銃は1954年に発売されたアメリカ・スミス&ウエッソン製で、軽量なアルミフレームを使っています。警察の特殊部隊SITが採用しているのは、コンパクトモデルの「M3913」です。
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警察の特殊部隊には「SAT」と「SIT」がある
捜査一課の特殊部隊「SIT」の由来はローマ字
警察の特殊部隊「SAT」は高性能の銃器を装備
特殊部隊の装備として採用されている自動拳銃
狙撃銃として特殊部隊が採用している豊和工業
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ラジオライフ編集部
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