MSSSのセンシス社オービスとしての驚くべき測定性能とは
新型オービスとは、2014年と2016年の試験運用を経て、2017年から全国の県警で導入され始めた非定置式タイプの自動速度取締り装置です。地面に固定するものもありますが、新型オービスはセンシス社の「MSSS」を筆頭に総じてコンパクトで持ち運び可能なため、設置場所を移動しやすいのが特徴です。新型オービスでセンシス社のMSSSの驚くべき測定性能を見ていきましょう。
MSSSはセンシス社の新型オービス
新型オービスはレーダー波を使って車速を測る定置式の「SWSS」、可搬式の「MSSS」。レーザー式で半可搬式の「LSM-300-HK」「LSM-100-K」、可搬式の「LSM-300」の存在が確認されています。
このうち、スウェーデンからやってきたセンシス社の簡易移動オービスとも言えるのが「MSSS」。新型オービスのMSSSは「モービル・スピード・セイフティ・システム」の略になります。まるで火星人のような見た目がセンシスの新型オービス・MSSS最大の特徴です。
センシスの新型オービス・MSSSの測定ユニット内にはカメラとレーダーが装備されており、複数車線を追跡できます。また、センシスの新型オービス・MSSSのバッテリーは8時間程の充電で1,000件の取り締まりが可能と高性能。おまけにセンシスの新型オービス・MSSSにデータは40,000件も入ります。
センシスの新型オービス・MSSSは、2016年度の新型オービス本格運用にさきがけ埼玉県警で試験運用を開始。埼玉県内では、当時からセンシスの新型オービス・MSSSによる夜間の取り締まりが目撃されています。パトカーに搭載される従来型のレーダー式取締装置と異なり、センシスの新型オービス・MSSSを設置する際は、本体部の前方にフラッシュライトが置かれることが特徴です。
MSSSはセンシス社動画で3車線計測オービス
センシスの新型オービスのMSSSのストロボの発光は、従来のオービスのような赤外線ストロボではなく、カメラのフラッシュのような白色のストロボ光であることも報告されています。実際、MSSSの性能をアピールするセンシス社の公式動画「MSSS vs ポルシェ911」でも、白色に光るオービスのストロボを確認することができます。
センシスの新型オービス・MSSSが白色のストロボ光を使用する理由は、ドライバーの写真をカラー撮影するためです。ちなみに、このセンシス社の動画では300km/hで爆走するポルシェの速度をMSSSは正確に測定し、オービスのフラッシュの閃光でドライバーの顔を恐ろしいほど鮮明に撮影していました。
さらに、アニメーションによる紹介動画では、センシスの新型オービス・MSSSはなんと3車線を同時に計測できることをアピール。開示資料では黒塗りされるMSSSの推奨レポートライン(撮影ポイント)は、センシス社の動画ではオービスから50m手前となっていました。
MSSSのセンシス社オービスは698万円
MSSSの製造メーカーであるセンシス社(センシス・ガッツオ・グループ)は、スウェーデンに本社があり、レーダー式による高性能なオービス(自動速度取締装置)を世界各地に納入しています。
日本国内代理店である沖電気が作成した資料によると、センシス社のMSSSがオービスで使用するレーダー波は24GHz帯で、「レーダー照射角度(29度)よりカメラ画角(18.5度)が狭いため、取締り車線がすべてカメラで撮影できていれば速度計測が可能」と記載。センシスの新型オービス・MSSSは数車線の取り締まりが可能なことが明記されているのでした。
センシス社の新型オービスについては、北海道警が購入したMSSSの価格が判明しています。「698万円」がMSSSの値段でした。
MSSSのセンシス社オービスにレーダー探知機
センシスの新型オービス・MSSSはレーダー式と呼ばれる速度測定方式を採用しています。そして、センシスの新型オービス・MSSSが速度測定に使用しているレーダーは、新Kバンドと呼ばれる周波数帯です。
最新のレーダー探知機では、センシスの新型オービス・MSSSの新Kバンド対応をうたったモデルが多く見られるようになりました。センシスの新型オービス・MSSSの可搬式オービスは、とくに北海道や千葉県で導入が進んでいるので、付近のドライバーはレーダー探知機の導入を検討した方がよいかもしれません。
例えば、セルスター工業のレーダー探知機「AR-33」は、LSM-300をはじめとするレーザー式オービスに対応しつつ、センシスの新型オービス・MSSSの新Kバンドにも対応しています。センシスの新型オービス・MSSSの事前察知を期待するなら「新Kバンド対応」のレーダー探知機を選ぶようにしましょう。
MSSSのセンシス社を千葉県警が移動式オービスに採用
全国各地で導入が進んでいるセンシスの新型オービス・MSSSですが、千葉県警に関しては少し事情が違います。千葉県警で現在稼働中の新型オービス10台すべてがセンシスのMSSSで、そのうち7台は千葉県警側からの「指名買い」だったのです。
千葉県が最初に移動式オービス1台の一般競争入札を行ったのが、2019年5月のこと。この際の移動式オービスは、LSM-300を製造する東京航空計器の代理店であるカナデンと、MSSSを製造するセンシス・ガッツォの代理店にあたる沖電気が応札し、より低い価格を提示した沖電気が698万円で落札しました。
また、2回目に移動式オービス2台を導入する際も2021年7月に一般競争入札が行われ、カナデンの入札価格2000万円に対してMSSS製造のセンシス代理店である沖電気は1700万円を提示し落札に成功。センシスの新型オービス・MSSS1台あたりの価格は850万円ということになります。ところが、3回目に移動式オービスとしてセンシスの新型オービス・MSSSを7台導入する際には一般競争入札が行われていないのです。
2021年9月に結ばれた移動式オービスのセンシスMSSSの契約は、入札によらない随意契約でした。随意契約は、製造メーカーが1社しか存在しない、あるいは納期が短く入札をしている時間がない場合に使われる契約方法で、発注先を官公庁側で選べる一方で、価格競争がなくなるため理由がない場合には使用が禁止されています。
MSSSのセンシス社オービス随意契約は1台800万円
千葉県が2022年9月に結んだセンシスMSSSの移動式オービスの随意契約は、移動式オービスの増強が直前の千葉県議会で決まったため、センシスの新型オービス・MSSSで随意契約を選べる理由自体は存在しました。随意契約にすると、官公庁側は発注先の「言い値」で購入するため価格が高く付きそうに思われますが、2022年9月に結んだセンシスの新型オービス・MSSSの随意契約は価格面でも有利なものでした。
千葉県側と沖電気が結んだセンシスの新型オービス・MSSSの契約書類を見ると、沖電気側が最初に提示した見積もりが5600万円で、1台あたりにすると800万円。つまり、2021年7月の入札価格から計算したセンシスの新型オービス・MSSS1台あたりの金額にあたる850万円より安いのです。
千葉県側がなぜ移動式オービスの契約先としてセンシスMSSSの沖電気を選んだのかについては、入手できた契約関連書類を見る限りははっきりしません。ただし、7台という大量発注を行ったということは、千葉県警が沖電気が販売するセンシスの新型オービス・MSSSに大きな信頼を置いていることは間違いないといえるでしょう。
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ラジオライフ編集部
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