有名芸能人逮捕に見る「マトリ」の捜査手法とは
2019年3月12日、ミュージシャンで俳優の某タレント逮捕のニュースが、日本中を駆け巡りました。この事件では、捜査機関による長期の内偵が行われていたと伝えられます。芸能人による麻薬がらみの事件の度に注目される麻薬取締官、通称「マトリ」とは、一体どういう組織なのでしょうか。
マトリだけに許されている捜査権限
「マトリは厚生労働省の管轄で、芸能人や大量の薬物を取り締まることで薬物への啓蒙活動を担っているという側面があります」。
元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏によると、マトリの捜査手法は警察とは異なる独特のものだそうです。「警察とは違い、違法薬物を購入できる権限を持ち、おとり捜査を許可されています」とのこと。
「また、警察の場合は多くの検挙人数を挙げなくてはならず、1人の捜査にあまり時間をかけられない面がありますが、彼らは人数よりも質。じっくりと捜査できるのが特徴なのです」。今回の逮捕劇でも、半年以上かけて家宅捜索に至ったといわれています。それには、薬物依存者特有の特徴があるといいます。
逮捕は免れないマトリの捜査手法
「芸能人が薬物使用疑惑を週刊誌などで書かれると、少しはおとなしくするもの。しかし、常習者はほとぼりが冷めると必ず再び薬物に手を出します。なので、マスコミに情報が漏れても焦ることなく確実に検挙できるのです」。それでは、マトリの捜査手法はどういうものなのでしょうか。
「マトリの捜査は『行確(行動確認)』が肝心。その前にまずは銀行記録や通話記録、SNSなど、机上で行える情報収集を半年くらいかけて徹底的に内偵します」といいます。
そして「行確を通して確実に薬物を使用する日を定めて、家宅捜索に踏み切るのです」。捜査に時間をかけられるマトリに内偵されると、ほとんど丸裸にされ逮捕は免れないようです。
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sugawara
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