血痕を調べる「ルミノール反応」で何がわかる?
事件現場の床に飛び散った黒いシミ。血液かどうかはパッと見ただけでは分かりません。これらのシミは法医学用語で「血液様斑痕」と呼ばれるもので、何段階かの検査を行って裁判に使える証拠へとレベルアップさせていきます。そこで登場する検査手法が、警察ドラマなどで鑑識が血痕を調べる「ルミノール反応」です。
鑑識が血痕を調べるルミノール反応
事件現場に、血液様斑痕が露骨にあれば、それが血液なのかどうかを調べるために血液予備試験を行います。ケチャップやジャムのこぼれた跡まで血痕と勘違いするわけにはいかないからです。
これが警察ドラマの鑑識でよく登場する「ルミノール反応」。ルミノール反応はルミノール判定試薬を血痕のありそうな場所に噴霧すると、血液だった場合は発光が見られるというものです。
血液様斑痕が付いた証拠品が直接試験管に入れられるものなら、ロイコマラカイトグリーンという試薬を使った「ロイコマラカイト緑法」と呼ばれる血液判別法を使います。
この血液に関する2つの検査は、使いどころが異なるものです。ロイコマラカイト緑法は見た目で分かる血痕を調べる際に、ルミノール反応は血痕を探す際に多用されます。
ルミノール反応は血液かどうかだけ
ただし、これらの方法で見極められるのは「血液かどうか」だけ。その血痕がブタや牛のものでも「血液」という結論が出てしまいます。
そのため、ルミノール反応などだけでは「人間の血液」という結論には至りません。改めて「人血証明試験」を行い、人血であることが分かってから晴れて血液型鑑定や遺伝子捜査などのグループに回されることになるのです。
人血証明試験は、人の赤血球に対し特異的に反応する抗原抗体を用いて沈殿の有無を見極める方法や、抗体を混ぜた寒天の上に検体をスポイトで落とし、環状の変成を起こさせて確認する方法など、通常は複数の方法を用いて人間の血液であることを証明するのです。
これらの方法で、ABO血液型からMN血液型、ルイス式、P式、Rh式などといった、あまり聞き慣れない血液型の種類が判明。いわば「血液の指紋」を明らかにしていくのです。
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ラジオライフ編集部
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