捜査一課の特殊部隊「SIT」の由来はローマ字
SITの正式名称は「刑事部捜査一課特殊犯捜査班」で、各警察本部の刑事部に設けられた捜査一課の一部署です。主な任務は誘拐事件などの捜査と人質救出になります。その設立は1964年。きっかけは前年に東京都台東区で起きた「吉展ちゃん誘拐事件」です。

捜査一課の特殊部隊の略称の由来
この事件で警視庁の捜査官は、身代金を奪われて犯人を取り逃がした上に、吉展ちゃんの命をも奪われるという大失態を犯してしまいました。それを教訓に、誘拐捜査の専門班として創設されたのです。
捜査一課の特殊部隊「SIT」の略称の由来は少し変わっていて、「Sousa Ikka Tokusyuhan」。つまり「捜査一課特殊班」のローマ字表記の頭文字からきているといわれています。
しかし、部隊腕章には「Special InvestigationTeam」の文字が表記。これは在外公館勤務経験者の捜査一課管理官が、SITを「Special InvestigationTeam」の略と解釈してしまい、それが公式化したとの説もあります。
この特殊犯捜査班の呼び名は警察本部によって、違う場合もあります。埼玉県警は「STS」で「Special Tactical Section」の略。千葉県警は「ART」で「Assault and Rescue Team」の略。神奈川県警は「SIS」で「Special Investigation Squad」、大阪府警「MAAT」で「Martial Arts Attack Team」です。
捜査一課の特殊部隊の本来の目的
捜査一課の特殊部隊「SIT」の任務はミスを犯せば人質の命だけでなく、自分も危険にさらしてしまうため、訓練は最悪の事態を想定して行われているといいます。しかし、本来の目的は、人質の安全を確保して救出することと犯人の逮捕。強行突入は最終手段になります。
それゆえ、通信傍受や逆探知を駆使して情報を入手しつつ、犯人と交渉、説得するという役目も重要。その説得を専門にするスペシャリストが「ネゴシエーター」と呼ばれる交渉役です。
2002年に起きた福岡県二丈町の民家立てこもり事件では、犯人との交渉が長引き、人質になっていた9歳の女児が刺殺されてしまいました。その反省を踏まえ、警察庁が全国の警察にネゴシエーターを置くことを決定。
捜査員の中から選抜された警察官たちが警察大学校で海外の交渉術や心理学を学び、そのテクニックを身に付けたといわれています。
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