高性能でお手頃なエアーバンド入門機「IC-R6」
空港の撮影ポイントや航空祭の会場でマニアが使っているハンディ機を見てみると、現行モデルではアイコムの「IC-R6」を見かける機会が多く、前モデルの「IC-R5」(2002年発売)と合わせると絶大なシェアであると感じます。IC-R6は高性能でお手頃な価格のエアーバンド入門機といえるでしょう。
IC-R6は弱い電波を確実にキャッチ
IC-R6はエントリー機らしからぬ高性能で、デジタル無線以外のおもしろ無線を、ひと通り受信できるだけの機能を備えています。そして、受信機としては手を出しやすい23,800円という実勢価格。IC-R6の人気の理由は「高性能でお手頃」。これに尽きます。
さっそく、エアーバンド受信の目線で、IC-R6の人気を検証していきましょう。受信機の性能を見る時の指標の1つに、スキャンとサーチのスピードが挙げられます。スピードが速ければ、自衛隊機が使用している非公開の周波数を探し出すのが容易になります。
得てしてエントリー機はサーチ速度が遅いため、周波数探しの用途には使えないというのが常識でした。これを打ち砕いたのが、IC-R6のサーチ速度。毎秒105チャンネルの速度は、高級固定機と肩を並べる爆速でありながら、弱い電波を確実にキャッチする精度を備えています。
IC-R6の感度は高いレベルで安定
UHF帯エアーバンドの場合、航空自衛隊は100kHzステップで使用することが多いのですが、陸上自衛隊や海上自衛隊(航空機だけでなく、艦艇間の交信にも使用される)の場合は、25kHzステップの周波数を使うことも少なくありません。このため、IC-R6の爆速サーチは重宝します。
しかし、落とし穴もあって、サーチ時の受信モードと周波数ステップが、VFOモードの設定を引きずってしまう点。エアーバンドだけが割当てられるVHF帯エアーバンドであれば、問題にはならないのですが、さまざまな割当てがあるUHF帯エアーバンドの広い周波数帯では、受信モードや周波数ステップがころころと変わってしまうのは厄介です。VFOの設定を1つずつ変更していくしかありません。
IC-R6の感度は高いレベルで安定しています。強い電波が出ている近くで受信している時に受けるカブリやイメージ受信の発生も、ほかのハンディ機と比べて同じ程度。悪いと感じることはありませんでした。受信環境にもよりますが、高利得の外部アンテナに接続しても十分に使えるという印象です。
IC-R6は誰が買っても失敗しない
IC-R6の受信音は全体的に高音が強めに出ているような印象。ノイズの多い交信が、少し聞き取りにくいと感じる部分もあります。そんな時は、セットモードのAFフィルター機能をオンにすると高音域を抑えてくれるので、ノイズ感が軽減します。
IC-R6のは帯域幅の狭いエアーバンドから、帯域幅の広いFMラジオ放送までカバーする広帯域受信機なので、音質の落としどころが難しいのかもしれませんが、自分でチューニングできるのはありがたいところです。
IC-R6は、ボタンの少ないテンキーレスモデルですが、ボタンの短押しと長押しを使い分けることで操作性は良好です。また、電池の持ちが良いのも特筆すべき点。単3形アルカリ乾電池×2本で27時間も持ちます。空港や航空祭で1日中受信をしていても、バッテリー切れの心配はいらない低燃費設計です。
快適な機能と高性能で実勢価格は2万円台前半。IC-R6は誰が買っても失敗しないハンディ機なのです。
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ラジオライフ編集部
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